「希望を感じさせるものは?」誰かにそう尋ねられたら、私は迷わず「子ども」と答えると思います。どんな状況でも小さな希望を見つけ出す天才です。

 希望について考えるとき、もう一つ思い浮かべるものがあります。それは災いを封じ込めたといわれるパンドラの箱です。ある時、パンドラの箱の中からこの世の悪いもの全てが世界に出てきました。でもしばらくすると、最後に一つ、とても小さく存在感の薄いものが飛び出しました。それが希望です。唯一の良いもの、重要な存在であるにも関わらず、なんとも儚いイメージです。

 この春、私たちは経験したことのない出来事に世界規模で直面しました。私の場合、生活が一変し、様々な課題の早急な解決に直面する日々でした。でも、今までと違う毎日だからこそ見えてくるものもありました。人の温かさ、その存在の心強さ、仲間のありがたさ。数え上げればきりがないほどです。今振り返ると、この時の様々な発見が今の希望につながったと言えなくもありません。

 私たちの希望も子どもたちのように柔らかく元気に膨らみ、未来を照らしますように。

1年担任 稲光千賀子