対話をして新しい考え方に気づこう!!

 

算数科 担当
太田 直樹

私の算数の授業では,子どもと先生,子どもと子どもが対話することを目指しています。それは,対話し合うことで,1人だけでは考えつかないような,数のきまりや規則,算数的な考え方を知ることができるからです。

 そのために最も必要なことは,子どもの算数的な「 つぶやき」をクラスに伝えてあげることだと考えています。1人だけで自力解決させるのではなく,クラスの中で話し合う時間を多くとることを意識しているのです。

 このように,私の算数の授業では,
「考えさせながら教える」 ことを目標としています。今回は, そのような授業の1つを紹介します。

 

 

 

「小数のかけ算にかくされた秘密」  


数の感覚を豊かにするためには,
数にかくされたきまりを見つける経験も大切です。

今回はそんな授業をしてみました。

 

【数字カードで筆算をつくろう】

『小数のかけ算をマスターした直太朗は,

数字カードを使って筆算をつくって遊んでいます。』

その話を聞いた子ども達は,
ぱっと頭の中で計算をはじめているようです。

「あっ!みつかった。」
(さすが子ども達。頭の回転が早いですね。)

 

すると,子ども達は思い思いに,

「結構,簡単だな。」

「あ~4がないのか。」 

と,ノートに計算をしながら,

自分の考えていることをつぶやき始めます。

 

でも,対話をするためには,

与えられた条件を共有し合うことも大切です。

「数字カードは,1回ずつしか使えませんか?」

「全部の数字カードを使わないといけませんか?」

「1けた同士の筆算でも良いですか?」

子ども達からのその質問を確認し合い,
問題が理解ができたところでスタートです。

 

 

 

 

  【自分の考えを発表しよう】

さて,早速発表です。

自分で式をみつけると言いたくて仕方ありません。

「26×3=78です。」

『他にありますか?』

「8×7=56です。」
「2×3=6です。」

「めっちゃ簡単や。」
(こうやって友達の意見につぶやけるのも,
友達の意見を聞いているからこそですね。)


「38×2です。」

「……。」

「もうないのかな~?」

「あっ!あった。32×8=256です。」

 

「お~。……。」

すると,それを聞いたある子が

「えっ?2を2回つかっているからだめだよ。」

『本当ですね。2が同じでした。』

(このように,楽しく友達の間違いが
訂正できるのも対話している証拠です。)

【整数×小数=整数にするには…?】

さぁ,この子ども達の勢いに乗って,次の問題です。

『では,次は,5年生のレベルまでレベルアップしましょう。』

『整数に小数をかけて,整数にしましょう。』

 

すると,すかさず,

「そんなの。5しかないやん。」(このつぶやきは嬉しいですね。)

『今,5しかないと,言った子がいますが,
どういう気持ちかわかりますか?』

一瞬,考える時間が過ぎ,ちらほら手が挙がりました。

「5に,偶数をかけると,一の位が0になるからだと思います。」

 

もっと,子どもの理解を深めるためにすかさず聞き返します。

『えっ?でも,何で?』

一瞬の沈黙が・・・(私も,子ども達と困った表情で待ちます。)

すると,「5×2=10になって,10の0が一の位になるからです。」

 

「あっ~。」と,子ども達の顔が笑顔に変わります。

さて,あとは,計算するだけです。

(5と偶数の組み合わせになるようにすれば良いんだ。)
そんな心の声が聞こえてきそうなくらい,黙々と計算を始めました。
 

 



 


 

【子どもの力って素晴らしい】

しばらく,計算する時間を待った後,

発表をしていきます。

「3.2×5=16です。」

「7.2×5=36です。」

「3.6×5=18です。」

「28×3.5=98です。」

しばらく発表の時間が過ぎると,こんな意見が出ました。

「2.5×4=10です。」

「えっ?」(4というカードはないんですね。)

「だめだ。4がなかった。あ~小数2つにならないか。」


子どもの力は素晴らしく,
すでに,次の段階のことを考えていました。

『今の○○君の気持ち分かる?』

「小数×小数で整数にならないか考えているんだと思います。」

その子は,嬉しそうにうなずいています。

そこで,次は小数×小数を考えることにしました。

【小数×小数=整数は…?】

授業終了のチャイムも近づいてきましたが,考えることにしました。

『でも,すでに,1つの答えが,黒板に書いてありますね。』

「6.8×25です。」

『そうですね。答えが170だから,
もう1つ小数点をつけても整数になりますね。』

『でも,何でですか?』

 

子ども達が,少し考えていると,

「2.5シリーズがあるんだな。」と,

つぶやきが聞こえました。

すかさず,その子に説明してもらいました。

 

その説明を真剣に見つめながら聞いています。

「2.5と4をかけると,100になるから…。

2.5と4の倍数をかければ良くて。…」

「キーン。コーン。カーーン。」

というところで,チャイムが鳴ってしまいました。

続きは次回の授業でまとめることになりました。

 

 

《NDトピックス》

『 今年度の本校の研究目標 』

 

 

「感じる心・考える力を育む授業」~対話を楽しみ,対話力を育む~

 

これは,本校の今年度の研究目標です。

 

昨年度に続き「対話力」の育成を目標として,

授業研究に取り組んでいきます。

 

対話力の育成は,現在の社会を歩んでいく子ども達に,

必要不可欠な力となると考えています。

 

さて,今年度は,昨年度の研究をさらに深めるために,

いくつかの教科で研究授業を行う予定です。

 

神様からお預かりしている子ども達の力を

より一層高めるために歩んでいきたいと思います。