授業の中で対話しよう!!

 

算数科 担当
太田 直樹

私の算数の授業では,子どもと先生,子どもと子どもが対話することを目指しています。それは,対話し合うことで,1人だけでは考えつかないような,数のきまりや規則,算数的な考え方を知ることができるからです。

 そのために最も必要なことは,子どもの算数的な『つぶやき』をクラスに伝えてあげることだと考えています。1人だけで自力解決させるのではなく,クラスの中で話し合う時間を多くとることを意識しているのです。

 このように,私の算数の授業では,
「考えさせながら教える」 ことを目標としています。今回は, そのような授業の1つを紹介します。

 

 

「魔法の数はいくつ?」  


参考文献: 加固希支男,「関数の考えを使って,楽しく計算の習熟」,
『新しい算数研究』2011 No.483 4月号,46-49  (東洋館出版社)

【魔法の数って何だろう?】

2年生の子どもは,空想の世界が大好き!

「幻の赤い花をみつけるためには,
魔法が使えた方がいいですね。
今日は,魔法の数について勉強しましょう。」

その話を聞いた子ども達は,
魔法の数があることを知って興味津々です。

「魔法の数は,何だと思いますか?」

すると,子ども達は思い思いに,

「3だと思います。」「ラッキーセブンの7だと思う。」
「きれいだから1かな。」「まるい8かな。」 

と想像をふくらませます。

 

 





 

  【背番号23をひっくり返そう】

さて,今日の授業の本題です。

「みなさんは背番号を知っていますか。」
「例えば背番号の23。」
「この数をひっくり返す,魔法の数があるそうです。」

23+=32

「あっ分かる。数字の9だ。」

すると,それを聞いたある子が

「本当だ9だ。」
(友達の発言を聞いて頭の中で考えたのですね。)

そして,「でも,魔法の数は9なのかな?」

とつぶやきました。すかさず,どういうことか聞きました。

「だって,他の数でもなるかな?」

そこで,別の数の56や45でも考えてみました。

「やっぱり9が魔法の数なんだ。」

魔法の数の9を見付けられた子ども達は喜んでいます。

 

【あれっ? 35はひっくり返らないぞ・・・?】

さぁ この子ども達の勢いに乗って,次の問題です。

「では,次は35でやってみましょう。」

「あれ? ひっくり返らないよ。」

あちらこちらから,困った声が届きます。

「9は魔法の数じゃないのかな・・・?」

一瞬の沈黙が・・・(私も,子ども達と困った表情で待ちます。)

すると,「あっ2回すれば良いんだ。」

他の子ども達はまだ分かりません。そこで,

「2回すれば良いって言ってるんだけど,○○君の気持ち分かる?」

「あっそうか!」という元気な声の中で,黙って考える子がいます。

「9を2回たせば,ひっくり返るんだと思います。」

それを聞いた子ども達は,確かめたくて仕方ありません。

35+9=44    44+9=53

「あっ本当だ。やっぱり9を2回たせばひっくり返るんだ。」 

 



 



【じゃあ,49だったら・・・。】

私は,もっと子ども達の力を信じます。

「じゃあ49でも,9を2回たせば良いのかな?」

・・・子ども達の暗算する時間が過ぎます・・・

「だめだ。2回たしてもひっくり返らない。」

・・・そして一瞬の沈黙の後・・・
こんなつぶやきが聞こえます。

「何回か分からないけど,
何回か9をたせば良いのかなぁ・・・。」

「本当かな~。確かめてみよう!」

49+9=58
58+9=67
67+9=76
76+9=85
85+9=94

「あっ,ひっくり返った!」

子ども達の喜んだ顔が嬉しそうです。

 

【あれ,32はダメだ。(授業の終わりに)】

授業も終わりになり,今日学習した魔法についてまとめている時です。

「あれっ?32はならないぞ。」

新たな疑問が生まれました。

 

皆さまは,お分かりですね。

子ども達の考える力は,底知れず。
まだまだ繋がっていきました。

 

 

《NDトピックス》

『 今年度の本校の研究目標 』

 

本校の本年度研究目標は、

「感じる心・考える力を育む授業」~豊かな対話を通して~

 

です。「対話力」育成を重点目標に取り組んでいます。

 

対話をするためには、まず他者への尊敬の思い・信頼感が必要です。

その上で、周りの話をじっくり聴き、自分の考えを持ちながら、

考えを練り上げると、お互いの認識がさらに深まると考えます。

 

現在は、学校全体の取り組みとして、特に挨拶と朝のスピーチに力を入れています。

また、各教科においては、「対話」を盛り込んだ授業展開を研究しています。