□ 研究と実践     音楽部・・・《 平成 23 年度全校音楽会   2011.11.11

 

今年度の全校音楽会は、初めて京都コンサートホールの大ホールを会場として開かれました。学校から歩いて 10 分もかからない地下鉄北山駅の上に、巨大なパイプオルガンを備えた世界でも有数の立派な音楽専用ホールがあることを知らなかった児童も沢山いました。児童のみんなから、この立派なホールで演奏することができることへの喜びと感謝の言葉がたくさん聞こえてきたことをとても嬉しく思いました。
 校長先生の開会の挨拶に続いて、最初の歌声は全体合唱による校歌の斉唱でしたが、素晴らしい音響効果にも助けられて会場いっぱいに豊かに響き渡る子どもたちの歌声は、この日の音楽会の成功を予感させるに十分なものでした。
当日は、生憎の小雨模様のお天気でしたが、学校からの全校児童の移動も、会場での着席も思いのほかスムースにいきました。帰るときには雨も止み、音楽会の余韻に浸っているのでしょうか、今しがた自分たちが歌った歌を口ずさみながら帰る児童の姿が印象的でした。
 ご来場くださいましたたくさんの皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

各学年のねらいと発表に向けて留意した点など

▶1年生 ・・・リズムを全身で感じながら、みんなで仲良く、楽しく、元気にうたう。

全体合唱:
「あしたこそ」工藤直子作詞/寺下徹作曲
「みえる」工藤直子作詞/寺下徹作曲(副題「トンボのサンバ」)


1年生のステージ

♪1年生の発表に向けて留意した点

①リズムを全身で感じる。
②友だちと声をそろえて歌う。とくに曲の始まりや終わりに気をつける。
③高い音や低い音、強い音や弱い音に気をつけながら、怒鳴らないように歌う。

 

▶2年生 ・・・音楽の楽しさを全身で感じ、友だちと一緒にその楽しさを表現する。

全体合唱:
「見上げれば」 寺下徹 作詞/作曲
「おーい!くも!」 寺下徹 作詞/作曲
「ともだちロックンロール」 寺下徹 作詞/作曲


2年生のステージ

♪2年生の発表に向けて留意した点

①リズムを全身で感じる。
②友だちと声をそろえて歌う。とくに曲の始まりや終わりに気をつける。
③高音部の声の出し方に気をつけながら歌う。

 1年生、2年生のステージでは、それぞれ「サンバ」と「ロック」という、歌いながら踊りたくなるようなリズムの曲を演奏しました。みんなノリノリで、全身でリズムをとりながら満面の笑顔で楽しく歌いました。担任の先生方や副担任の先生方も、ドラムやタンバリンなどで特別参加して盛り上げてくださいました。先生方、ありがとうございました!
ノートルダム学院小学校における低学年の歌唱指導の大きな目標のひとつは、音楽の楽しさを体全体で感じ、音の高低や強弱に注意して表現しながら、決して怒鳴ったり大声を張り上げたりしないで、言葉を大切にはっきりと歌う・・・いわゆる「幼児歌い」からの訣別です。そのためには、その時々の児童の現状に即した選曲も重要になってきますが、みんな、段々と自分の声をコントロールしようとする意識が芽生えて、元気な声と高く澄んだ声をとても上手に使い分けることができるようになってきました。
みんな音楽大好きな子どもたちになって欲しいと願っています。

 

  ▶3年生 ・・・ 周りの音を聴き合い、音の重なりを感じ合いながら美しい声で歌う。

全体合唱:
「キリエ」 寺下徹 作曲
「素晴らしい言葉」 手島稀 作詞・作曲/長嶋亨 編曲
「歌よ ありがとう」 花岡恵 作詞/橋本祥路 作曲


3年生のステージ

♪3年生の発表に向けて留意した点

①歌詞をしっかりと読み、言葉の意味を考え、言葉のリズムを感じる。
②友だちと声をそろえて歌い、とくに曲の始まりや終わりに気をつける。
③高音部の声の出し方に気をつけながら歌う。
④音の重なりを感じながら、周りの声を聴き合って歌う

3年生になると、1,2年生に比べて体格も大きくなり、かなりしっかりとした声になってきます。とくに高音部では、「普通の声」で出ない音域をファルセット(裏声)で歌うことで、「声がでないから・・・」とか、「音程がとれないから・・・」というような理由で歌うことに対して苦手意識をもっていた児童が、いつのまにか積極的に歌うようになりました。
 古来、多くのキリスト教の祈りの歌はミサ通常文といわれるラテン語のテキストを使っている曲が多く、今回3年生が歌った「キリエ」は、低学年の児童のために「ラテン語の歌」入門という目的で新たに作曲したものです。わずか 12 小節の短い歌でしかも終わりの4小節は最初の4小節のくり返しという、たいへん短い曲ですが、子どもたちはこの歌を大好きになってくれたようで、授業中でも喜んで歌ってくれました。そして歌うほどに、自然ときれいな声が出るようになり、純粋な祈りの心をもって歌うようになりました。
そんな子どもたちに心から感謝しています。

 

▶4年生 ・・・旋律や音が重なり合う響きを感じ取りながら、想像力豊かに聴き、友達と気持ち を合 わせ、思いを持って表現できるようにする。

13 組「 How wonderful living together! (生きるってすばらしい!)」 山村もも作詞/大田桜子作曲
14 組「ブリッジ」                  桜田直子作詞/作曲
15 組「 Face 」                    松本比呂作詞/作曲
16 組「 MIDORI  ~繋がる輪~」       菊本るり子作詞/作


4年生のステージから

4 年生の発表に向けて留意した点

①歌詞の内容を知り、曲の雰囲気や作者の思いを感じ取る。
②「言葉」が伝わるように、表情豊かに歌う。
③リコーダーの音色に気をつけ、周りの音を聴きながら演奏する。
④旋律や音が重なり合う響きを感じながら、気持ちを合わせて演奏する。

 4年生のリコーダー演奏では、シャープやフラットのついた音の運指や、楽曲本来のテンポに慣れるまで子どもたちは苦労していました。授業時はもちろん、休み時間や家庭での練習などの積み重ねによって、技術的に上達できることを実感したようです。
 また、高音部の声の出し方について、自分なりに課題を見つけた児童もいました。今後の授業でその課題に対してしっかりと取り組み、これから音楽活動に活かしていきたいと考えています。

 

▶5年生 ・・・楽器の重なり合ういろいろな響きの違いを感じ取り、その特徴や音色の違いを活 かして合奏をする。

17 組「ブラジル」             A.Barroso 作曲/小島里美編曲
18 組「ラプソディー・イン・ブルー」  ガーシュイン作曲/吉川浩司編曲
19 組「アフリカン・シンフォニー」     V. マッコイ作曲/小島里美編曲
2
0 組「バック・トゥ・ザ・フューチャー」  A.Silvestri 作曲/山里佐和子編曲


5年生のステージから

5 年生の発表に向けて留意した点

①楽器の基本的な奏法を知る。
②他のパートの旋律を聴きながら、ハーモニー作りをする。
③心を一つにして合奏を楽しむ。

 5年生の子どもたちにとっては初めての器楽合奏で、たくさんのパートがそれぞれ異なった旋律を演奏することにはじめのうちは驚いていました。曲が最後まで通るまでには、予想よりもかなりの時間がかかりましたが、クラスのみんなで心を合わせ、周りの音を聞き合いながら、コツコツと取り組み、朝・リフレッシュタイム・昼休みの個人練習やパート練習、家庭での練習など、子どもたちは本当によくがんばりました。クラス全員で心をあわせ、一つのものを作り上げる喜びを充分に感じ取り、達成感を味わってくれたことと思います。

 

▶6年生 ・・・楽曲の曲想やその変化を感じ取りながら、思いを持って表現する。
旋律の特徴を感じ取り、曲想を活かした表現の工夫をする。

21 組・ 22 組「桜の下で」             若松歓作詞/作曲
23 組・ 24 組「春に」         谷川俊太郎作詞/木下牧子作曲

 
6年生のステージ  R21 R22

 
年生のステージ  R23 R24  

6 年生の発表に向けて留意した点

①パート練習の充実
②歌詞と旋律との関係について知り、表現の工夫をする。
③作詞者や作曲者の思いに心を寄せて、合唱曲を仕上げる。

 最高学年である6年生では、子どもたちの自主性を重んじ、パートリーダーやサブリーダーを中心にパート練習を進めていきました。パート練習では音程を取れていても、全体練習では他のパートにつられるため、各自が自信を持って歌えるようになるまで子どもたち同士でアドバイスし合って練習していました。リーダーたちが休み時間を利用して自主的に練習する場面も多く見られ、さすが6年生と頼もしく思いました。また、曲想をつけていく場面では、歌詞の言葉に繋がる気持ちやイメージを大切にしながらも、実際にその思いを表現することの難しさを感じていたようですが、自分たちなりの表現を目指して皆で頑張りました。  

 

▶全体合唱・・・♪「めぐみあふれる」   寺下徹 作曲

 全学年の発表が終わり、最後は聖母マリアへの祈り「めぐみあふれる」を会場全体がひとつになって歌いました。オープニングの校歌の全体合唱とはまた違って、祈りの心に満ちたやさしい歌声が会場いっぱいに響き渡り、もっともノートルダムらしさに溢れた素晴らしい瞬間でした。みなさん、感動をありがとう!


全体合唱「めぐみあふれる」

 

▶クラブ発表 ・・・今年度の音楽会では、会場が京都コンサートホールということもあって、 本校の 音楽系サークルも特別に発表のステージをいただきました。

①オーケストラ+フルートアンサンブル  ♪ブラームス作曲「ハンガリー舞曲第6番」

②お筝クラブ   ♪ 久本玄智作曲 「三段の調」

③合唱クラブ

♪「大きい木」・・・・・・・まどみちお作詞/大田桜子作曲
♪「いいてんき」・・・・・・工藤直子作詞/寺下徹作曲
♪「ほしのこもりうた」・・・工藤直子作詞/寺下徹作曲

 

◎ NDトピックス・・・『器の力』

 お花やお茶、あるいはお弁当!でも、いかに美しく見せるか、またいかに美味しく味わっていただくかには容れ物、つまり「器」の良し悪しが大切な要素となってまいります。
 音楽の世界もまた然り。とくに、電気の力を借りず、生の楽器の音や声で勝負となると、音楽会の会場の良し悪しで演奏の良し悪しが左右されるといっても過言ではありません。音の響き具合によっては、普段の練習の成果を100%、いやそれ以上と思えるほど発揮できたり、その逆のこともあるものです。
 今年度の本校の音楽会は、京都が世界に誇る素晴らしい音楽の器、京都コンサートホールをお借りして行うことができました。これも学校から歩いて数分の位置に京都コンサートホールがあるノートルダム学院小学校ならでは、そして私学ならではの音楽会でした。子どもたちは、ホールの壁に染み込んだ世界の一流の音楽家たちが残していった「音の魂」の力をもらって、まさにリトルアーティストに変身を遂げました。子どもたちの普段の練習の成果もさることながら、それに加えての器の力をまざまざと見せつけられた思いです。初めてコンサートホールのステージに立ったノートルダムの子どもたちは、立派な空間に臆することなく、一流の器の中の響きを十分に楽しんでいたように見えました。反面、2時間超の長丁場だったせいか、とくに低学年の子どもたちのお行儀の面では反省点も多くありました。様々なご指摘とともに次回の音楽会に活かしてまいります。
 さて、ホールが一流ならば、そこでお世話になったホールの関係者の皆様方のお仕事ぶりも、事務方、舞台関係の皆様ともにこれまた一流。本当に丁寧にご対応くださいました。立派な器も使い方次第、それを使いこなして初めて器が活きるということをよく言われますが、やはり最後は人の心と心のふれ合い、人と人の接し方でも器の良し悪しが決まるものだということを改めて感じさせられました。
 「世界に誇る音楽ホール」を小学校の音楽会に使わせていただいたことに心から感謝いたしますとともに、ステージ上で胸を張って歌う子どもたちの凛とした姿を見て、器の力を信じた今回の音楽会のねらいは大成功だったことを確信しつつ、更に音楽を愛好する心、音楽することを楽しむ心、そして音楽を通して仲間とつながり、共感し合う心を子どもたちに育んでまいりたいと、心を新たにしております。

ノートルダム学院小学校 音楽部