図画工作科 研究と実践 授業紹介

1 年生 「にらめっこしましょ!」】

授業者 1 年図画工作担当 松本唱子

 

今回の授業紹介では、 1 年生の図画工作科で実施した「にらめっこしましょ!」を取り上げます。

 

 

<本課題のめあて>

     集めた材料の形や色、材質から発想や構想を膨らませ、表し方を工夫する。

     作品を通した交流の中で、自分の活動との違いに目を向け、自他の表現のよさや工夫に気付く。

 

 

 

この「にらめっこしましょ!」でつくった作品は、本校の美術展で展示しました。家族や、友達、パートナーのお兄さんやお姉さん、たくさんのお客様に見ていただく機会があります。「作品を見てくれた人が、思わず笑ってしまうような顔をつくろう!」こんな声かけから、この授業はスタートしました。

 

この課題に取り組ませる前に、子ども達にはある宿題を出していました。

『次の図工で顔をつくるので、目 や鼻や口になりそうな材料をお家から集めてくること』

 

普段、生活している環境も「なにか図工で使えそうな材料はないかな?」と、アンテナを張って目を向けてみると、いつもは何気なく捨ててしまうものや、気に留めることなく通り過ぎていたものたちが、特別な輝きをもって目に映ることがあります。制作を始める前の段階で、身近な材料の色や形、材質などに目をつけ、その材料がもつ可能性に想像力を働かせることがねらいです。

「鼻の形に似ている!」「髪の毛に使えそう!」こうして集まった材料を大事そうに抱えて、子ども達は元気に図工室にやって来ました。

 

いよいよ、作業開始です。

顔の土台となるのはスチレンボードです。今回は 10 色の中から好きな色を選ばせました。

持ってきた材料を机に並べ、顔のパーツをどの材料で表すか考えます。

始めは、目と鼻と口だけを置いて「できた!」と言っていた子も、「鼻には鼻の穴があるで」「口は、唇と歯と、歯茎も見えるよ!」「眉毛とまつげもある!」「ほくろもあるで!」友達の顔を見ながら、自分の顔を思い出しながら、顔のパーツが増えていきます。実際にスチレンボードの上に置いてみて、目にしてみたり、鼻にしてみたり…見立て遊びを楽しみながら、色々な見方で材料と関わることで、多様な表現や発想に結びついていきます。

 

だんだん顔らしくなってきた顔達。

次は顔の準備体操です。

 

「この顔を怒らせてみよう!」      「次はびっくりさせてみよう!」

材料の向きや位置を変えると、表情はくるくると変化します。

「こっちを使った方がいいかも!」「これも使ってみよう!」

 

これらの活動を通して、イメージが広がり、遊んでいるうちに子どもの表現の方向性が生まれてきます。

この頃になると、子ども達は、自分の作品が友達を笑わせることができるのか、試してみたくてたまりません。

「○○ちゃん!いくで!にーらめっこしましょ、わーらったーらだめよ、あっぷっぷ!」

楽しくお互いの作品を見合う中で、さらに「こんなこともやってみよう!」と意欲が高まります。

学校という場での制作は、造形を通したコミュニケーションを楽しむ中で、作品も変化し、育っていきます。友達のアイデアや工夫に新たな着想やヒントを得ながら、自分らしい作品が生まれます。

 

 

最後に、気に入った表情で固定し、ボンドで材料を貼り付けました。絵の具を使って仕上げた子もいます。

 

完成した1年生137人の楽しい顔達は、美術展を見に来てくださったたくさんのお客様を笑顔にしてくれました。

 

 

 

 

《ND図画工作科トピックス》
― 低学年の図画工作の授業 ― 

 今回の「にらめっこしましょ!」の授業では、実際に作品を仕上げる作業に、ほとんど時間をつかっていません。制作 に至るまでの過程にたっぷりと時間をとりました。

 特に低学年の授業では、材料の色や形、材質に触れ合い、そこから発想を広げ、想像力を働かせ、その間を行ったり来たりするような体験をしながら、創り出す楽しさを十分に味わうことのできるような授業を展開しています。