4年生「音楽」 ・・・・・オリジナル教材を使って

~ 春だ! 心うきうき歌の季節だ!

授業者:寺下 徹、波々伯部宏彦

《4年生音楽の学習のめあて》

 進んで音楽にかかわり、基礎的な表現や鑑賞の能力を育て ながら、 様々な音楽活動を通して 表現の能力を伸ばし、音楽表現の楽しさや美しさを感じ取り、分かち合う。

 新4年生の音楽は、昨年に引き続き寺下と波々伯部がT・T(ティーム・ティーチング)の形で担当することになりました。新4年生は、昨年、3年生になるとすぐに頭声的発声のための基礎的な訓練を始め、とくに高音部の発声においては無理のない美しい発声を心がけながらファルセット(裏声)の基礎的なトレーニングを続け、発声やソルフェージュ(聴音)などの基礎練習にも意欲的に取り組んできました。

《今回の授業のめあて》

美しい声を作ろう・・・発声の基礎練習

  • 声域別に、声を出す方向性をイメージする。

②「夢見たもの」(作詞・作曲:寺下徹)の二部合唱

  • 二つのパートを歌えるようになる。
  • お互いのパートを聴き合いながら、全体の響きとハーモニーを感じ取る。

③リコーダー奏・・・「ことば遊びの歌」(寺下徹作曲)から

  • 音の重なりを感じながら、「カノン」にチャレンジする

 

①「美しい声」を作ろう・・・ 研究課題としての『頭声的発声』の基礎作り

 声を出すときに、ただ漫然と出すのではなく、声域(音の高さ)によって声を出す方向を変えるためのイメージ・トレーニングを行いました。

 とくに、高音域の場合は、出にくい声をのどをしめて無理矢理絞り出すのではなく、声帯の振動(声)を頭蓋骨の中で響かせて斜め上方に向けて逃がしてあげるような感覚を身につける。すなわち、おでこから頭頂部へ抜けていくような方向性のイメージをもつことで、力みのない美しいファルセット(裏声)の発声へとつなげていきます。

また、顔の表情の変化も声を出すときにはとても重要な要素となるので、声を瞬時に上下に運ぶ「超高速エレベーター」を後頭部にイメージし、音の高 低と眉の上下動、目の開き具合などを連動さ せるイメージ・トレーニングを行うことで、高音 域への声の移動、つまりファルセットへの移 行(チェンジ)がかなり滑らかになってきました。


 

◎継続は力なり。

みんな真剣な眼差しで集中して取り組んでいます。声域が広がってきたばかりでなく、明るく透明感のある音色になってきました。次の目標は、豊かな声量と響きのある声です。

◎腹式呼吸の練習です。

肺の奥にまでしっかりと息が入っているか、腰に手を当てて、息を吸ったときの手の動きで確認します。

◎歌は、立って歌うのが基本です。

姿勢の矯正もトレーニングの大切な要素です。まっすぐな立ち姿にもリラックスして声を出すことを楽しんでいるような表情です。

◎口を大きく開いて歌います。

姿勢とともに口の開きが良くなってきました。のどの奥もかなり開くようになり、発音も良くなってきました。

 

②「夢見たもの」(寺下徹作詞、作曲)の二部合唱

 この曲は、2005年度に5年生の平和学習の学習発表会に向けて、また個人的に、戦後60年を迎えた節目として同時に作詞・作曲した3曲の『平和の歌』のなかの一曲です。

 

 合唱は、他のパートの声を同時に聴き合い、全体の響きやハーモニーを感じながら歌うことが基本で、しかもある程度他のパートの音を取れることも大切です。

 4年生は、3年生のときから少しずつこの曲の二部合唱の練習に取り組んできたこともあり、ほとんどの児童が二つのパートを両方歌うことができるようになりました。

また、お互いのパートを聴き合いながら歌うことができ、少しずつ美しいハーモニーが実現できるようになってきました。これからは、さらに色々な表現の可能性にチャレンジしていきたいと思います。

◎「はい!指揮を見て!」

指揮者の手の動きや表情を見ながら、刻々と変化する曲中のフォルテ、 メゾ・ピアノ、クレッシェンドやディミヌエンドなどの様々なニュアンス、表情の変化を目と心で感じることで、表現の共同作業をより楽しむことができます。

 

③ソプラノ・リコーダー・・・・・・ 「楽器を活用した歌唱指導」

寺下徹作曲「ことば遊びの歌」から、「おむすびいつつ」、「たらこ かずのこ」

   

 

 この2曲は、1年生のための音読詩集のなかからことばのリズムがおもしろいいくつかの詩を選び、日本的な5音階旋法によってわらべ歌風に作曲した曲集「ことば遊びの歌」(2007年)のなかの曲です。

もともとは、いわゆる「ド・レ・ミ・ソ・ラ」の5音階(リコーダー奏での実際は、「ファ・ソ・ラ・ド・レ」)で作られた曲です。単純な旋律の繰り返しにより、歌詞の内容というよりは、ことばそのものの音の面白さとリズムの面白さを音楽で表現する楽しさと、1小節ずつ、あるいは半小節ずつずらして輪唱することで、2度の不協和音のぶつかりや完全4度、完全5度のハーモニーがところどころに浮かび上がってくるという面白さをねらった歌です。

   二人の教師によるティーム・ティーチン グでは、一人ひとりの児童に細やかな指導をすることができます。

 今回の授業では、リコーダーの指使いを忘れてしまった児童や、リズムがよくわからないといった児童に対して具体的且つ丁寧な指導をすることができました。

 この「ことば遊びの歌」そのものは、4年生のリコーダーの実力では演奏するにはやや簡単すぎるところもありますが、上述の曲のねらいを声で実現するための前段階として取り組みました。リコーダーである程度正確に演奏できるようになってから、「声」によるアンサンブルへと移行していく予定です。

   

NDトピックス

「楽器を活用した歌唱指導」とは?

 「楽器を活用した歌唱指導」とは、斉唱や合唱をさらに面白くするために楽器を伴奏やその他補助的に用いて「合唱奏」とするだけではなく、歌の楽譜に書かれている音程やリズム、あるいはハーモニーの実現をあらかじめ楽器で体験し、次に「声」で追体験することで、子どもたちが楽譜に書かれてある作曲者の意図や作品の面白さをより確かに自分のものとするための歌唱指導の方法です。 

 

 「声」によるアンサンブルは人間そのもののアンサンブルです。
音楽の時間は、お互いが自分の心を開いて、たくさんの音楽(人)に出会い、エキサイティングな時間(人生)を過ごす、そのための訓練と実践の場です。

 これから、さらに心身ともに一段と活発に成長の速度を増していくであろう4年生の子どもたちとともに、一時間、一時間の積み重ねを大切にし、沢山の素敵な音楽と出会い、心の中の世界が広がっていくようなエキサイティングな授業を展開したいと思います。