ノートルダム学院小学校の3年生は、1月後半から2月にかけて「磁石」の単元を学びます。前単元の「豆電球に明かりをつけよう」に引き続き、子ども達には大人気の単元です。

磁石にはいくつかの不思議な秘密が隠されています。子ども達は、この秘密を実験を通して解き明かしていくのです。

秘密① 磁石は鉄でできているものを引きつけます。金属(鉄、銅、アルミなど)は電気を通しますが、磁石は鉄(ニッケル、コバルト)以外のものは引きつけません。また、磁石の両端はたくさんのくぎ(鉄)を引きつけ、極(N極、S極)と呼ばれています。

秘密② 2つの磁石を近づけると、同じ極(N-N、S-S)どうしでは退けあい、違う極(S-N)どうしでは引きつけあうのです。

秘密③ 自由に動けるようにした磁石は、磁石のN極が北を指し、S極が南を示します。地球そのものが大きな磁石になっていて、北極の下には磁石のS極があり、南極の下にはN極があるのです。

秘密④ 磁石と鉄でできたもの(クリップやくぎ)の間に、下敷きや紙を挟んでも、磁石の力は働いて引きつけます。電気は、アルミ缶やスチール缶の表面に塗料などを塗っていると通しませんが、磁石はスチール缶を引きつけます。

秘密⑤ 磁石に引きつけられた鉄くぎを、そっと磁石から離しても、少しの間一時磁石になるのです。また、鉄くぎを磁石の極を使い一方向に何度かこすると、この時も一時磁石になります。

秘密⑥ 磁石を切ったり、分けたりすると、1本の磁石は小さくなり、磁力は減りますが、両方とも磁石になります。さらに、切り分けたところにも磁石の極が新しくできるのです。

これらの秘密を、子ども達は実験を通して学んでいきました。

この単元では、子ども達は毎時間の理科が待ちきれません。「今日はどんな実験をするの?」「昨日の実験は楽しかったよ。」「お母さんにも教えてあげたよ。」「小石がつく磁鉄鉱を持ってきたよ。後で見て。」「砂鉄を持ってきたから、見てね。」「ネオジム磁石を買ってもらったよ。」

教室に入るなり、子ども達は私のところに来て、様々に言うのです。子ども達の声を聞くと、とても嬉しくなります。

不思議な見えない力を持つ磁石ですが、この力を探り見るために、発展的授業を取り入れてみました。

子ども達を4人1グループに分け、机を向かい合わせで座らせ、1グループに白い紙1枚、棒磁石2本、透明板1枚、フィルムケースに入れた砂鉄の粉1個を配りました。

黒板を使い、実験手順を説明したあと、鉄粉を振りかけます。すると、磁力の働くところ(磁界)に、砂鉄の粉がつき、見えない磁石の力(磁力線)が現れたのです。これを見た子ども達から、「何やこれ!」「何か出てきたぞ。」「すごい、すごい!」「ひげみたいや。」「動物の顔に似てるな。」などと声が聞こえてきます。砂鉄を振りかけたことで現れる磁力線を初めて見る子ども達でした。

磁力線が現れたあとは、観察・記録です。磁石1本のときの磁力線と2本のときの磁力線の形は違います。それぞれの形をよく観察し、砂鉄の立っている方向に注意しながら記録しました。このとき、机を少しでも動かすと、磁力線は壊れます。気をつけながら記録しなければなりません。

最後は、地下鉄や私鉄のカード、テレフォンカードの上にも砂鉄の粉を振りかけてみました。身近に利用される磁気カードの秘密も見つけました。(すべて使用済みのカードです。)

 

秘密①の実験です。

 

 

 

透明板に磁力線が現れました。

磁気カードの秘密もわかりました。

子ども達に、理科の不思議や楽しさを伝えるために、発展的な授業を今後も取り入れ、理科好きを一人でも増やすよう、理科部メンバーは取り組んでいます。 

3年生 副担任 理科部 藤島太助