算数でも自由研究!!

 

私の担当する学年では,夏休みや冬休みなどの長期休暇を利用して,
算数の自由研究に取り組ませています。

 自由研究と言えば,理科や社会の内容を対象としたものがほとんどです。

 私自身の経験もそうでしたし,多くの保護者の皆さまも同じではないでしょうか。しかし,算数の自由研究があっても良いはずです。

 なぜなら,算数が好きだから自由研究をしようとか,算数について「あれ?何でだろう?」と疑問を持つことがきっかけで研究をしたい気持ちになることもあるはずだからです。

 今回紹介するのは,私が過去3年間,教科担任として指導した,3学年の算数についての自由研究の作品です。 

算数科担当
太田 直樹

 

 

【5年生の自由研究 「体積」】

 

これら2人のレポートは,水槽に満たした水の中に,靴や石を入れ体積を量っています。

算数の時間に練習問題で解いた内容を,実測しているところが素晴らしいです。

「予測した体積と異なっていた」「どうしても誤差がある」という考察がありました。

実測したからこそわかる,新たな発見がみつかるようです。

 

【4年生の自由研究 「四色問題」】

一昨年流行った映画「容疑者Xの献身」にも出ていた四色問題についてのレポートです。

この四色問題とは,次のような定理(数学の性質)です。

「いかなる地図も,となり合う領域が異なる色になるように塗るには4色あれば十分である」

このレポートでは,区分けされた地図である日本の都道府県が,

本当に四色で塗りきれるのかを試しています。

定理を知った時に,『本当にそうなるの? 何でそうなるの?』 と考えることが,

数学的な考え方を伸ばすことに繋がりますね。

 

【3年生の自由研究 「分数の比を考えて」】

雪だるまやペンギンの頭の長さを全体のどれ位にするか分母を変えて描いて比べています。

どんな割合で描くと良いのかを考えるところに,分数を使うと,

芸術の中に,数学的に調和のある美しさに触れられるかもしれませんね。

 

【4年生の自由研究 「平行と垂直」】

自分の身の回りにある建物や物の中から,学習した平行・垂直の関係を見つけてきました。

平行な線をつかって制服のデザインをしてみると,幾何学的にきれいな作品になるようです。 

 

【3年生の自由研究 「演算記号」】

 3年生までに4つの演算(たし算,引き算,かけ算,わり算)を習いました。

その記号の創られた数学史に興味をもった点が素晴らしいです。

 

【3年生の自由研究 「回転する模様」】

 角度の学習を活かして,回転する模様を上手に描いている作品です。

合同や点対称の感覚は,3年生の子ども達にも芽生えています。

 

《NDトピックス》

『 身近だった日本の数学【和算】 』

 

 日本の小学校では,高学年になると鶴亀算という問題を思考力を育てるために考えます。 算数が好きな人は,すでに本で読んだり勉強したりしたかもしれませんね。

 この鶴亀算と同じように,○○算とつく問題は,実は江戸時代から伝わる日本の数学「和算」なのです。この和算を日本中に普及させ,明治時代に洋算を理解する日本人の素養をつくった本に『塵劫記』がありました。

 江戸時代,算術を勉強する必要があった商人はもちろん,庶民から大名までベストセラーになった本です。私たちの住む京都出身の吉田光由が書いた本です。

室町時代には,一般庶民の数学のレベルが,二桁のかけ算もできない人が大多数であったと言われており, 「塵劫記」による影響や貢献は非常に大きかったのでしょう。

 このように,庶民から大名まで,生活の中で,数学(算数)を楽しむほどに, 日本人は,数学(算数)が大好きだったのです。

 子ども達には,これからも自分の興味をもったこと,疑問に思ったことなど,調べていって欲しいと思っています。

 

京都の常寂光寺にある『塵劫記』の石碑