食礼学習

   めあて    「食礼体験を通じて和食文化のすばらしさに触れる」

 食育教育の一つ として、茶道の茶事に準ずる茶懐石に触れる機会(食礼学習)を設け、6年近くになります。私たちがこの食礼学習を通じて子どもたちに体験させたいと考えている内容は以下の通りです。


   ①本格的な和の食事マナーに触れるとともに、そこに込められた作り手の思いを知る。
   ②和食ならではの素材の生かし方を学びながら、伝統料理を味わう。
   ③日常の食事と比較検討し、食そのものへの関心を高める。

 この学習では、和の食事マナーを学ぶ事も重要ですが、懐石膳の一部である澄まし汁と煮物を、だしを取るところから子どもたちが実習することで、作り手が料理に込める思いに触れる機会を設けています。お料理にこめられた作り手の心づかいも学ぶことで、和食への興味や関心を高めたいと考えています。

 

〈 1.子どもたちの学習目標 

①和食の特徴や工夫を知りおいしく味わう。
 ②作り手の苦労を知る。
 ③もてなしの心について考える。
 ④本格的な和食のいただき方を学ぶ。                            
 

 

 ①和食の基本であるご飯、汁、煮物を調理する。
②専門家の料理と組み合わせて味わう。
 ③本格的な和食のいただき方を学ぶ。

 ④道具を大切にし、きちんと後片付けをする。

 

〈 2.学習のながれ 〉

①マスク、エプロン、帽子、消毒などの身支度を整え、念入りに手洗いをし直して調理室に向かいます。調理実習の開始です。
②まず初めは、シスターからの説明を聞きます。ふろふき大根・澄まし汁・ご飯のたきかげんなど実習のポイントを頭に入れようと耳を澄まします。
③それぞれのテーブルに分かれて実習の開始です。仕事の分担と協力でチームワークよく取り組む姿はさすがです。
④器に美しく盛りつけます。見た目もおいしさを引き立たせる重要な要素であることを学びながら、最も美しい配置を体験します。
⑤食事を運び、礼法教室でいただきます。たん熊北店の栗栖先生から懐石料理についてのお話を聞き、より深い学びを体験します。

 

 

 (子どもたちに特に伝えたいこと)

 一番美味しい状況でいただくためには手順が重要であり、そのための工夫を体験的に学ぶ。また、 和食の基本である鰹だしを意識させる。そのために、いつも家庭でいただく出汁の味とプロの出汁の味と比較する。

 

〈 3.礼法室での学習内容 〉

① 和食器の扱い方
   ・ふたの開け方、ふたをおく位置について
   ・器を取ってから箸を取ったり、おろしたりする
   ・漆器の手入れ(塗り物は爪で傷が入ること
   やわらかいスポンジなどでそっと洗うこと)


② 会食指導

 最もおいしくいただくためのコツ(旬の時期や、調理時のポイントなど)や食材の特長をいかす調理方法、また、食材どうしの相性について子どもにもわかりやすくお話し下さいました。また、調理にこだわりながら丁寧に作ることと、もてなしの心の関係性についても気付かせて下さいました。

禅宗を基本にした茶懐石、その心のありようについてのお話もありました。手間ひまかけたお料理をいただきながら和の食文化の良さに触れるすばらしい機会でした。畳の上で和食をいただく時の心構えやマナー、注意点も教えていただき、和食文化とは「相手を意識した食文化」であることに気づく事ができた様子でした。一年生からの礼法学習の成果によるものかもしれません。今後もより充実した礼法学習を展開していきたいと考えています。

和食の繊細な味に気付けるよう言葉がけをしながらのお食事です。彩りや芳醇な香り、多様で複雑な食感なども指摘されるごとに考えながらいただいている様子でした。五感で食を楽しむという食文化の豊かさに気づき、感動している様子でした。

 

 

 

〈 4.まとめ 〉

食育の「食」という漢字は、「人を良くする」と書きます。「食育」は命に繋がる大切な学習であると改めて認識するとともに、「食べる」ことへの関心を高めることがポイントでした。子どもたちの様子からは、十分な手応えが感じられ、うれしく思いました。たくさんの方々のご協力のもとで成功したこの機会を、よりよい食生活を自分で作っていく姿勢の育成にとどまらず、「よりよく生きる」 という態度をはぐくむことにつながることを願っています。

 


 

    


 

 *今回紹介させていただいたのは今年の2月の様子です。今年度の食礼学習は2月に実施の予定です。 

《NDトピックス》

茶事で出される料理を懐石料理といいます。これは濃茶をおいしくいただくための軽い食事です。濃茶はどちらかというと、どろっとしていて胃への刺激が強いので、空腹の場合、人によっては気分が悪くなってしまうことがあります。そうならないために懐石料理で空腹を満たそうというものです。だから、懐石料理といっても何も特別なごちそうではなく、お客様を思っての真心のあらわれなのです。