5年生の遠泳が、ついに本番を迎えます。
 子どもたちが今まで積み重ねてきたものの成果を発揮するときがきました。目に見えて泳力がついてきた子ども、少しずつながら確実に力をつけてきた子ども、自信のなさから手足が思うように動かず、不安と闘いながら歯を食いしばるように懸命に泳ぐ(浮いている?)子ども・・・みんな誰もが、目に見えないものと立ち向かい、克服し、乗り越えようとしています。そこに、私たち教師は、どんな助けを与えることができるのでしょう。泳げない子に手を差し伸べるのは、簡単なことです。しかし、その子が立ち向かおうとしている「見えないもの」を見えるようにすることはできません。その子の後ろから、その子を信じ、励ましながらじっと見守るだけです。
 愛情に満ちた眼差しが相互の信頼を芽生えさせ、その信頼が勇気を与える、人と人との関わりにおける最も厳粛な瞬間・・・ その今を、私たち教師は子どもたちとともに生きています。なんと幸せなことでしょう。

寺下 徹