私たちは一日の中で、何度人と言葉を交わすのでしょうか。

 人はたった一言の言葉に喜び、励まされ、時には傷ついたりします。ほんの一秒足らずの言葉にも、大きな力が秘められています。わずかな時間で伝えられる言葉によって、どれほど多くの感情や思いが込められているのでしょうか。言葉の持つ力について考えるきっかけとなれば…と思い、宗教放送で子どもたちにある詩を紹介しました。

『一秒の言葉』

小泉 吉宏

 「はじめまして
   この一秒ほどの短い言葉に,一生のときめきを感じることがある。

 「ありがとう
   この一秒ほどの短い言葉に,人のやさしさを知ることがある。

 「がんばって
   この一秒ほどの短い言葉で,勇気がよみがえってくることがある。

 「おめでとう
   この一秒ほどの短い言葉で,幸せにあふれることがある。

 「ごめんなさい
   この一秒ほどの短い言葉に,人の弱さを見ることがある。

 「さようなら
   この一秒ほどの短い言葉が,一生の別れになるときがある。

 一秒に喜び,一秒に泣く。

 一生懸命,一秒。

 

 この「一秒の言葉」は CM に起用されていました。 1984 年にラジオのCMとして制作され、週1回1年ほど放送されています。また、翌 85 年にテレビCM 化され、大晦日の日、民放で同時放映されました。放映後には、その短い言葉に心打たれた人たちの反響が数多くあったそうです。この詩は結婚式のスピーチに引用されたり、今では道徳の教材として扱われたりしています。
 作者の小泉吉宏さんは、「広告マン時代に作ったCMが、このような形で語り継がれているのは感無量です。」と語っておられます。

 「一秒の言葉」がもつ不思議な力…。日頃、何気なく使っている言葉に目を向けていきたいものです。

 

4年生副担任 稲森 真弓