今までは、視聴覚室(NDシアター)の後ろのスペースに展示していた[むかしの道具]ですが、校舎新築に伴い、子ども達が給食室や保健室、図工室へと、普段自由に行き来する際に必ず目にする廊下に、9月から移転しました。  

  3年社会科の[むかしのくらし・道具]の学習や6年の歴史学習に参考になる物で、主に保護者の方々や旧・現教職員の寄贈品で、実際にその当時使用されていた物とレプリカ(複製品・復元品)がほとんどです。 

 それらの中で、その前を通る時にはいつも気になり、ひときわ目を奪われる物があります。それは、旧教員の方のお父様が戦時中に使用した[軍服・鉄カブト・慰問袋・水筒・進軍ラッパ]です。第二次世界大戦ではなくその前の日中戦争(1937年)の折に出征していた2年間に着用・使用していた物だそうです。
  そのお父様は、実際にこの軍服で、当時幼かった子ども(旧教員の方)やご家族の皆様と別れ、鉄カブトをつけて戦地に赴いて・・・、どんなお気持ちであったでしょうか・・・。まさしく断腸の思いであったであろうことは想像に難くなく、その心中を察するにあまりあり涙を禁じえません <お父様は復員され、天寿を全うされたそうです。>

 七十数年という歳月が流れ、平和の象徴のような子ども達の姿、そして、その笑い声がたえず聞こえてくる給食室前の展示棚の一角、ほんのわずかなスペースにひっそりとたたずむ品々。

 戦時中の軍服や鉄カブト・・・と子ども達やその笑顔・声。全然似つかわしくなく異和感さえ覚えるかも知れませんが、これらの物品の経てきた歴史を慮る時、むしろ、この場所が最もふさわしいようにも思えてきます。

3年担任 枡本 晃