前期終業式で、新約聖書の中のひとつの有名な箇所について話しました。

“十人の重い皮膚病の男がイエスさまに「私達をあわれんでください」とお願いします。
イエスさまは「祭司のところへ言って体を見せなさい」とおっしゃいました。彼らは行く途中で清くなります。そのうちの一人は、自分が癒されたことに気づき、引き返してイエスさまに感謝するのです。イエスさまは「清くなったのは十人ではなかったか。他の九人はどこにいるのか。神を賛美するために帰ってきたのはこの一人の他国人のほかには誰もいないのか」と嘆かれます。そして「立ち上がって行きなさい。あなたの信仰があなたを救った」と告げられるのです。”

 他国人というのはサマリア人のことです。子どもたちは、多分“良きサマリア人”の例え話を宗教の時間に何度も聞いて知っていると思いますが、当時ユダヤ人とサマリア人は宗教的にも民族的にも対立していました。ユダヤ人であるイエスさまの同胞は誰一人お礼を言いに来ませんでしたが、サマリア人だけがイエスさまのところに戻り、足もとにひれ伏して感謝したのです。

 「前期を終了するにあたり、これまでお世話になった先生方や職員の方にお礼を表しましょう、育てて下さったお父さんやお母さんに感謝を表しましょう」、と語りかけました。「心で感謝していてもそれを表さなければ本物ではない」、とくり返し言いました。重い皮膚病の人たちも病気が癒されたことをどれ程感謝していたことでしょうか。「感謝」は、その気持ちを表すことが大切です。“ありがとう”の言葉で、または“にっこりとほほえむこと”でも表すことが出来ます、一人ひとり感謝を表すことの出来る人になりましょう、というような話をいたしました。

 そのあと、何人かの小さな子どもが校長室にお礼に来てくれました。正直驚きました。子どもたちのあまりにも純粋な心に。

 “こうちょうせんせい、さっきょくしましたので、
プレゼントします。うたってください。”
(しばらく校長室のピアノの上に載せてあります。)
 “こうちょうせんせい、これ、あげる。”
(多分、この子の大切な宝物と思います。
 しばらく校長室に飾ってあります。)

校長 シスターベアトリス田中