新館3階の窓辺に、小さなかわいい小鳥の巣が出来ています。これは内緒です。二週間ほど前に窓と網戸の間の狭い10センチほどの隙間のところに、何本かの藁を見つけました。子どものいたずらかとも思いましたが、とりあえずそのままにしておきました。でも、何となく気になり、翌朝もう一度そこに行きますと、藁の中に細い短いひものようなものも混じっていて、少しまるい感じに置かれていたのです。やっぱり、小鳥の巣だったのです。毎日それを見るのが楽しみでした。数日後には高さ3~5センチメートルにもなってきました。もう、誰の目にも小鳥の巣とわかります。
 5月の連休の間に、何とそこに小さな卵を見つけました。親鳥の巣づくりが終わって、安心して子どもを育てることにしたのでしょうか。もう、次の日が待ち通しくなり、1日に数回、そっと巣の中を覗いて見ることにしました。次の日には卵は2個になり、その翌日には3個になっていました。私は何としてもお母さん鳥に会いたくて、じっとカメラをもって待っていました。何分たったでしょうか。しっぽの黒くて長いかわいい小鳥がやって来ました。わたしはしずかに近づいて、しっかりと顔を見ました。頬が白くて口ばしはスマートで、とても美人のセキレイでした。恥ずかしそうに私のほうを見ながら、卵を抱いて自分の体で暖めているのです。
 “セキレイさま、ありがとう。すてきな光景を見せてくれて。”  しばらくして、母鳥は飛び去りました。私が巣の中をのぞきましたら、何と卵は4個になっていました。どうぞ卵が無事にひなにかえりますように、と祈りながら、今日は帰ることにします。

校長 シスターベアトリス田中