第52回 卒業式」における学校長式辞を掲載いたします。

 

第52回 卒業式

 

      学校長式辞


 

 6年生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。あなたたちは今日までお父さん、お母さん、そして先生方やお友達、そのほか多くの方々にお世話になって、今日の日を迎えることができました。この幸せを独り占めすることなく、卒業式どころではない、今回の巨大地震で災難に遭った多くの人々のことに心を向けましょう。
 津波で家ごと海に流され、家族や親しい人を亡くした方や、余震が続く中で不安と孤独のうちに今も過ごしている多くの方々に思いを馳せ、ただ祈るだけではなく、自分のできる援助をしましょう。
 昨日、朝のテレビ放送で、朝刊に載っていた地震や津波の被害に遭った方々の写真を見ました。がれきの上に立ってヘリコプターで救助されている人や、悲しみに沈んでいるお母さんを慰めている小さな子どもの写真などを見ながら祈りました。そして、積極的に行動しましょう、と呼びかけました。すると、なんと6年生の児童会の役員がすぐに募金箱を作って、たった一日でも募金活動をさせてください、と申し出てくれたのです。早速6年生の皆さんが今朝早くから正門に立って募金活動をしているのを見て、ほんとうに立派だなあと誇りに思いました。低学年の子ども達に見てほしかったです。みなさんありがとう。

 みなさんはここノートルダム学院小学校でさまざまな体験を通して、多くのことを学びました。特に宗教的な行事や儀式を通して、神様からいただいた命を大切にし、人としていかに生きるか、ということを考えたり、毎月の徳目標に励んだりしました。
 最後の宗教の授業では、「ハイチのマザーテレサ」で知られるシスター須藤のお働きを映像を通して見ました。その後、みなさんの多くが、“日本には二度と帰らない覚悟でハイチに来た”と言われたシスターに感動し、自分も将来はあんなふうに人のために役立つことをしたい、と言ってくれました。
 そうなのです。ノートルダム教育の目標は「持っている力をよく使って社会に奉仕しよう」なのです。ハイチまで行かなくても、あなたのそばに助けを必要としている人がいます。

 先週、皆さんは今まで学んだ聖書の中でいちばん心に残った箇所を選んで短冊に書きましたね。“最も小さい者のひとりにしたのは私にしたのである”、“それらの小さな者にしなかったことは私にしなかったのである”とか、“ささげ物をする前に、友達と和睦してその後で来なさい”、“ことばではなく、行いで示しなさい”とか・・・。
 そうです。お祈りするだけではなく、行動しなければならないのです。今世界中から70か国以上もの国々から救助の申し出があり、すでにたくさんの国からかけつけて、救援の手をさしのべてくださっています。それなのに、日本に住む私たち日本人が何もしなくてよいのでしょうか。

 私たちは普段、水・ガス・電気など自由に使える便利な生活を当たり前のようにとらえてきましたが、この想像を絶する、悲惨な情況を目の当たりにし、今、自分に何ができるか、というよりも、何をすべきかを、どう生きるかを態度や行動で表さなければならないと思うのです。今、私たち日本人は今まで経験したことのない、大きな危機と困難に直面しています。

 私たちは社会に奉仕するために勉強するのだ、ということ、あなた方が未来の日本を創るのだ、ということをどうぞ忘れないでください。
 それでは中学校に行ってもすすんで善い業に励んでください。神様がいつもあなた方を見守り力づけてくださるよう祈ります。

(2011年3月15日)


卒業式の朝、6年生は校門に立って募金活動を行いました。
卒業式のはじめには、犠牲者の方を悼み、全員で黙祷しました。>