第51回 卒業式」における学校長式辞を掲載いたします。

 

第51回 卒業式

 

      学校長式辞


 

 6年生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。保護者のみなさま、お子さま方のご卒業おめでとうございます。お子さまのご在籍中、何かと学校の方針にご理解とご支援を賜りましたことを感謝申し上げます。また、司教様をはじめ、ご来賓のみなさま、今日は卒業してまいります6年生の前途を祝し、感謝の祈りの式に共に与かってくださいますことを、心よりお礼申し上げます。ありがとうございます。

 さて、6年生の皆さん、つい数日前、6年生を送る会で、全校生との最後の集会を持ちました。あの時のことを覚えていますか。どの学年もそれぞれに思い出を振り返りながら6年生への感謝を表した心温まるプログラムでした。皆さんも心をこめて最後の挨拶をし、“立派な中学生になります”、と約束し、あの、「旅立ちの日に」の歌を歌いました。歌っている6年生も聞いている下級生も、何人もが涙をこらえていました。その光景は感動に満ちたものでした。私達も熱いものがこみ上げてきて、ここまで成長した6年生と下級生との親しい交わりを誇りに思いました。
 パートナーの1年生も何人かが泣いていました。きっと、あなたたち6年生のお兄さんやお姉さんに本当に親切にしてもらったからだと思います。あの後、皆さんは1年生のパートナーから感謝のメダルを首にかけてもらっていましたね。   
小さな1年生が背伸びをし、6年生のあなた達が少ししゃがんで、首にメダルをかけてもらっている光景は、ほんとうにほほえましいものでした。美術の先生の話によりますと、何人もの1年生が泣きながらお別れのこのメダルを作っていたとのことでした。

 このメダルの場面は、つい最近終わった冬のオリンピック表彰台でのメダルをもらった人たちの姿と重なりました。まず、フィギュアースケートで銀メダルに輝いたあの真央さんです。私達からすれば、厳しい訓練と、苦しい自分との戦いの末に、世界で初めてという女子3回点半ジャンプを成功させ、うっとりするほど美しい演技で観客に感動を与えてくれたのですから、ご本人も十分満足していいと思うのです。でもメダルを首にかけてもらっておられる時、真央さんの目に涙が浮かんでいたのです。これはうれし涙だけではなく、悔し涙でもあったことはテレビを見ている私たちにもわかりました。メダルを手にしてもまだまだ満足できない自分があったのでしょうか。どこまでも自分の可能性や限界にチャレンジして行こうとされている姿は、今、中学生になろうとしている皆さんに大切なことを教えて下さっているように思われます。これからの日々で、自分の思い通りにならなくて悔しい思いをすることがあれば、その時こそチャンスです。それをバネにしてさらに高い目標を目指して努力してほしいのです。

 一方、高橋選手は銅メダルを手にし、喜びいっぱいの表情でした。そして、最初に口にされた言葉は“このメダルをお母さんにあげたい”というものでした。すばらしいですね。この方も怪我や骨折、また、大手術で大変な時期があったと聞いていますが、あきらめずに、チャレンジし続け、世界の舞台で発表できたのですから、その喜びはどれほどのものだったことでしょう。

 皆さん、卒業の日を迎え、ここまであなたたちを養い育て、導いてくださったお父さん、お母さんにまず、金メダルをかけてください。聖書でも何度も学びましたし、修養会で神父様さまからも教えていただきましたように、目に見えるものの奥にあるものに気がつく心が大切なのです。星の王子様でも“大切なことは目には見えないんだよ”と教えられました。

 ご両親や家族の人たち、また先生方やお友達が、直接間接に、どれほどあなたたちと大切に関わって下さったか、また、あなたたちが知らないところで、どれ程多くの方々があなたたちのために祈り、あなたたちを励まし、力づけて下さったことでしょう。そういう人達にどうぞ、感謝の金メダルをかけ続けてください。惜しまずにひとつでも多くの心のメダルを。
 そして1年生からもらったかわいい金メダルの横に、自分が選んで書いたあの聖書のみことばの短冊も一緒に飾っておいて下さい。神さまはあなたに、特別の使命を託されていること、同時に、人も自分も同じように大切な存在であることを忘れないで下さい。時々、あのブルーの、ノートルダム教育のミッションイメージのカードを開いてみてはいかがでしょうか。 
 では、神さまがいつもあなたを見守り、どんな時も一緒に歩んで下さっていることを心に留めて、今から感謝の祈りの式にあずかりましょう。司教様の祝福を頂きながら、元気に、希望をもって、新しい出発をしてください。卒業おめでとう。

(2010年3月15日)


6年生を送る会の日、1年生は6年生パートナーに金メダルを贈って、感謝の気持ちを表しました>