学校長 新年年賀メッセージ

「ノートルダムの伝統と品位」


 

 2006年 新年 明けまして おめでとうございます。

 今年も神様の御見守りのうちに日々過ごすことが出来ますように、
また 世界に真の平和が訪れますように、心から祈ります。

 年の初めにあたり、ノートルダム学院小学校の目指す教育の方向について記しておきたいと思います。

『ノートルダムの伝統と品位』 

 昨年12月8日、本校の創立以来の本部役員の方々や、特にお世話になった方々を恩人としてお招きする「創立50周年感謝の集い」を持ちました。
 場所や人数などの関係で初めてホテルを使わせていただくことになったのですが、担当の教職員やおもてなしをする児童の協力を得て、無事50年に一回の大きな行事を終えることが出来ました。本校の子どもたちによるお茶のおもてなしと、オーケストラ・ブラスバンド・フルートアンサンブルなどの子どもたちによるささやかな演奏にたいそう満足してくださり、夕食をはさんでの短い時間ではありましたが、恩人の方々は互いに旧交を温め楽しんでくださいました。
 ノートルダム学院小学校はこのような恩人の方々に支えられてあらゆる困難を乗り越え、今日の姿があることを再確認したひとときでした。
 第1回本部役員で東京からわざわざ来て下さった方はご高齢のため杖で歩かれるのもやっとのようでしたが、かつてノートルダムで貢献されたことを誇りにしているとまでおっしゃいました。また海外出張中なのにこの日のために帰国された方も数名おられ、これ程までにノートルダムを大切に考えて下さっていることを有難いことだと思いました。
 今もなお私たちに夢を託して下さっているこれら恩人の方々の期待を決して裏切るようなことがあってはならないと心に誓ったひとときでもありました。
 この日帰り際にホテルの担当責任者の言われた言葉を今もはっきり覚えています。“これまで長年多くの宴会を担当してきたが、これ程にグレードの高いお集まりは初めてだ”。品がある、品位がある、とのおほめに預かったのです。 

 教育は結果を出さないといけない、とよく言われます。“よく祈り、よく学び、持っている力をよく使って人のために生きよう”と願うなら、結果としてそこに内面の輝きが現れるようでなければなりません。まわりの人をやさしい気持ち、嬉しい気持ちにさせるものが、その子どもの言葉や行い、存在そのものからにじみ出るようでなければなりません。
 死語になりかけているこの“品位”こそ、今私たちが身につけたいものだと思うのです。ホテルの方はその日来られた恩人の方々からあふれ出る“品の良さ“に圧倒されたのです。ホテルの方が私たちに気づかせて下さったこの ”品位”を真にじぶんたちのものにして行きたいのです。
 品位、これを子どもに要求する前に教職員一人ひとりが“内面の輝き”の結果として自分自身に持ち合わせたいものです。
 50年前アメリカから最初に来日された4人のシスターたちは、一人ひとりが教育者としての威厳と輝きをもって、別の言い方をすれば、品位ある凛とした姿勢で生徒たちの前に立たれました。伝統とは過去の己の成功にしがみつきそれに酔いしれることでもなければ、何もしなくても生徒が集まった過去の時代を懐かしむことでもありません。

 ノートルダムの伝統、それは”品の良さ”でもあります。学力低下を嘆き、塾に血眼になっている間に最も大切なものを見落としてしまうことのないように、いつも、透明な心で日々過ごすことが出来ますように、切磋琢磨したいものです。
 子どもたちの中に、神を敬い他人を自分と同じように大切にする心が内面に育っていれば、そこには自然と周りへの気づかいやおもいやりのある行為が出来、結果としてほんとうの品位が自分自身に備わってくるのでしょう。
 年の初めにあたり、恩人の方々やノートルダムの多くの保護者の方々が持ち合わせておられた”品位”を何としても取り戻したいと強く願い、今年の抱負といたします。

 みなさま、どうぞ、良い新年をお迎えくださいませ。皆さまお一人おひとりの上に神様の祝福がありますように。

2006年 元旦   シスターベアトリス田中