学校長 新年年賀メッセージ
人の命は地球よりも重い」
 
 
2007年 新年 明けまして おめでとうございます。
 
 今年も神さまの導きのうちに歩むことが出来ますように。また、世界の国々の隅々まで真の平和が訪れますように、と祈ります。
 ノートルダム学院小学校も、中・高と大学との連携において、これまでにない新しい関係を創り上げ、さらに特色ある教育を実践することが出来ますように。
 
年頭にあたり、今、私たちがしなければならない最も大切なことは何かを考えてみたいと思います。新しい内閣がスタートし、教育再生委員会が出来たり、教育基本法の改正が決まったり、子ども支援対策にかなりの予算が当てられたりしています。それが今後どのように教育の現場に生かされるのかわかりませんが、ほんとうにこれらのことが、実現すれば今の問題は解決するのでしょうか。私には甚だ疑問に思われます。
 
昨年はいじめ・自殺・暴力・虐待・事故・事件・・・と、あまりにも悲しい痛ましい出来事が続いた年でした。何かが起こるたびに、学校に問題があったとか、家庭に問題があったとか、または会社に、企業に、とその責任をなすり付けている場合が多いように思えます。子どもや若者の過失や犯罪のほとんどは大人の悪い手本のせいなのに、わたしたちは大人としてその責任を十分取り切れていないように思えるのです。大人の社会の縮図なのに、子どもに申し訳ないとも思うことがあります。
 
学校教育とくに小学校教育に関わる者として、学校の役割を今一度確認したいのです。子どもは勉強するために学校に来ます。学校に来る目的は勉強することにあります。“塾で勉強し、学校は休憩する所”と勘違いするようなことがあってはなりません。勿論、子どもに過重な負担にならなければ、それぞれの家庭の状況によって、塾やお稽古事でさらなる特技を磨いたり、才能を伸ばしたりすることはすばらしいことです。
しかし本来の目的から逸脱しないように、時々軌道修正したり、意味を確認したりすることは大切なことです。広辞苑によれば、学校とは「一定の教育目的のもと、組織的・計画的に教育を行う施設」とあります。そして、勉強とは「①精を出してつとめること、②学問や技術を学ぶこと、さまざまな経験を積んで学ぶこと」とあります。
ノートルダム学院小学校は、広辞苑にあるとおり、建学の精神に基づいて6年間の教育の営みのなかで、意図的・計画的にさまざまの行事やアクティビティを通して、子どもの可能性の開花を目指しています。子どもの好奇心を刺激しながらも、自分で判断して行動できるようにと願い指導しています。教育は一朝一夕で成し遂げられませんが、努力しだいではすぐに結果の見えるものもあります。広辞苑にあるとおり、学校の教育の中で、精を出して努めることが身につくように私たちは最大限の手助けをしたいと思います。なぜなら、人は受けたものしか与えることができないからです。子どもたちに必要十分なケアを心を込めて与え続けることができますように、と 年の初めに祈ります。目配り、手配り、気配り、心配りを惜しむことがありませんように。かけがえのない命は人も自分もこの上なく尊いものであることを、体験を通して子どもたちは実感できるのです。
人の命は地球よりも重い、と言われて何年たったでしょうか。今、吹けば飛びそうなほどに軽いものになってしまいそうで、怖いです。そうなっては手遅れです。“勉強“しながら、自分を磨き、頭と心の豊かな成長をとげてほしいと願い、祈ります。
 今年もどうぞよろしくお願い致します。
 

2007年 元旦   シスターベアトリス田中