9月14日、京都大学環境安全保健機構 放射性同位元素総合センター 生物学部門 助教の角山雄一先生をお招きし、平和学習の一環として5年生の子ども達に放射線に関してご講演いただきました。

従来から5年生の平和学習では、広島を訪問して、原子爆弾の恐ろしさを学び、平和について考えてきました。今年度は広島訪問に先がけて、昨今関心の高まっている放射能・放射線について学ぶ機会を設けることになりましたが、角山先生が本校児童の保護者でいらっしゃることから、今回のご講演が実現しました。

冒頭の角山先生からの「放射線はどんなところで使われているか知っていますか」という問いかけに、「空港」「病院」などの答えが返ってきました。また、「放射線にはどんな種類があるか知っていますか」という問いには「ガンマ線」「ベータ線」「アルファ線」と子ども達が次々に答え、先生も感心された様子でした。

まず、放射線発見の歴史や「RI(=Radio isotope アール・アイ)」、「放射線」、「放射能」という3つの言葉について、基本的な知識を学びました。

先生は放射線を測る機械を持ってきてくださいました。測定する物が何もなくても空気中の放射線が検出され、ピッピッと音を立てています。自然界にも放射線が存在していることがわかりました。ラドン温泉、コンブなどのカリウムを含む食品、そして人間の体も放射線を出しているのだそうです。

途中、次々と子ども達から質問が飛び出しました。角山先生はひとつひとつの質問に丁寧に答えてくださいました。

休憩時間にも子ども達は先生に質問を投げかけていました。

続いて、放射線はあぶないのかということについてお話しくださいました。人間がやってはいけない最悪の放射線の使用法が広島と長崎での原爆投下です。その時だけでなく、長く人々を苦しめた悲惨な被害状況について写真を交えてお話しくださり、子ども達も真剣にお話をうかがいました。
翌々日に広島を訪問する際に、広島平和記念資料館(原爆資料館)で注目すべき点についてもふれられました。

今年、福島で起こったことについてもお話がありました。
「福島の人々が元どおりの生活に戻れるまで時間がかかるけれども、君たちは大人になってもこのことを忘れずにずっと福島の人を応援し続けてほしい」と、先生から子ども達へのメッセージが伝えられました。

放射線は、医学、工業、農業、芸術などたくさんの分野で利用されているそうです。予防接種の注射器などのプラスチックの滅菌にも放射線が活用されていると聞き、自分達の生活と関わりがあることがわかりました。

時間いっぱいまで、子ども達からはたくさんの質問が出ました。

専門家としてのお話を小学生にもわかるようにご講演くださり、放射線について子ども達なりに理解することができました。
このような機会をくださったことに感謝して、この特別授業を終了しました。

この日学んだことを心にとめて、5年生は広島を訪れました。平和について学び、祈り、これからの自分達にできることを考えていきます。