いよいよ夏休みを迎えます。さまざまな計画を胸に、子どもたちは心をはずませていることでしょう。長い夏休みが日々充実したものでありますようにと願っています。
 家庭は、子どもにとって最初に経験する小さな社会であり、夏休みのように長期の休暇こそ社会的訓練をする大切な場です。待つ、耐える、我慢するという集中力の基礎となる訓練を、夏休み中に、少しでもしていただきたいと願っています。ほしいものを我慢する、したいことを少しでも我慢するという訓練をする機会となりますように。けれども、人間の基本的要素 ~人として愛し、愛されること~ を我慢させることがありませんように。
 また、何でも、未知なものを知りたがる子どもの好奇心は上手に育てなければなりません。逆に、ほしくないもの、したくないこともあるでしょうが、時と場合によっては、社会のルールとして、また、礼儀作法のひとつとして、敢えてそれに従わなければならないことがあります。どんなにほしくても、決して人の物を盗んではいけないこと、どんなにしたくても自分の体や心を傷つけたり、人の迷惑になったりすることは決してしてはいけないこと、社会のきまりには人として従わなくてはならないことなどを、私たち大人は、子どもに教えていかなければなりません。夏休みはそれらのことを学ぶには相応しい時だと思います。"親の後ろ姿で子どもは育つ"と昔からいわれてきました。これらのことを、私たち大人が守らず、子どもに要求する資格がないことも、私たちは心しておかなければなりません。
 ご家庭でも、お子さまとよくお話し合いくださり、自分に見合った計画を立て、充実した楽しい夏休みを送っていただきたいと願っています。