朝の1分間スピーチ、今年の目標など、ノートルダム学院小学校の子どもたちにはクラスの友だちに向けてスピーチをする機会がたびたびあります。担任である私は、スピーチに耳を傾け、拍手をおくる・・・そんな毎日を楽しんでいました。が、最近スピーチが全員終わるとこんなことを言われます。「先生は?」・・・考える間もなく思いついたことを話すのですが、子どもたちのスピーチのほうが何倍も面白いのです。

 数年前にもこんなことがありました。その時のスピーチのテーマは『自分の名前の由来』です。(子どもたちが話し合いで決めたテーマです!)おじいちゃんの名前の一字をもらったとか、漢字に意味をもたせて願いがこめられているとか、本当に心温まるエピソードばかりで、感動しながら聞いていました。なんとも幸せな気持ちで全員の発表を聞き終えた時、予想だにしなかった「先生は?」の声。う~ん、このときばかりは即答できず、「調べておくね。」と時間をもらいました。「先生のスピーチは?」「もうちょっと待って。」を数日繰り返したでしょうか。とうとう勇気を出して両親に聞くことにしました。

 私の名前は幸絵(ゆきえ)といいます。とある神社でいくつかの候補を出してもらった中で、「優しくてまっすぐな心を持った子になるように」との願いがこめられたこの名前を、両親や祖父母がつけてくれたそうです。「二十歳すぎたら名前がどうとかじゃなくて自分の責任よ。」と結びの言葉もいただきましたが、それでも家族みんなが自分の誕生を祝福し、願いをこめて名前をつけてくれたことがわかり、胸が熱くなったのを覚えています。

 「先生は?」をきっかけに私も自分自身をみつめなおすことができ、いただいた名前のように生きようと思いました。

さて、最後に、ノートルダム学院小学校の「Notre Dame」はフランス語で「私たちの貴婦人=聖母マリア」という意味です。学校で学ぶすべての子どもたち、そしてわたしたち教職員が、マリア様のように、強く優しい人になれますように。

 3年担任 秋田 幸絵