授業紹介 10月号 ― 国語科 【特別講義国語】
特別講義国語
平成18年度から、週1時間、特別講義国語を設定しています。はじめは、本学園内中学・高等学校の教員により6年生で実施しました。その後、本校教員が実施しています。
本年度
前期は4年生と5年生に特別講義国語の時間を設けました。
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4年生
課題 「音読から朗読へ」
教材Ⅰ 『あめ玉をたべたライオン』
今江祥智 作
【 学習の主な形態 】
音読(朗読)グループでの学習
群読の練習
グループの群読発表
【 学習の目当て 】
準備ができたら、1年生の教室で発表しよう
【 学習の留意点 】
他のグループの読みを聴くこと、考えること、意見を持つことは、
自分たちの読みを
上達させる
教材Ⅱ 『走れメロス』 太宰 治 作
きびきびした躍動感のある文体が児童の心をひきつけたようです。物語の展開に伴う状況説明や心情読み取りのための補足説明を最小限度に留めて、読み進めました。
4年生の児童が現在、可能な範囲で、感じとったこと、今はそれだけで良いと思っています。あくまでも「
音読破
」としての教材として扱いました。
各グループは、自分たちが一番気に入った箇所の朗読発表を実施しました。
自分たちで発表を聞き合って、朗読が一番よかったグループを選び、代表グループが1年生に朗読発表します。
2.グループ活動の中で、力を認め合い、互いに能力を伸張させようとの狙いは聞こえが良いのですが、実際はなかなか難しいことです。クラスの中でどのグループに代表となってもらうのかを決める場合にも、担当教師の思い通りには行きませんでした。一週間に一度しか触れ合わないので、子ども達の普段の様子が見えにくかったのです。担任教諭の協力を得ながら、納得するまで話し合いました。結果的には、真剣に話し合う種にもなったと思われます。
(学習を終えて)
1.学習総時間は週1時間で、前期は15時間を特別国語として実施しました。
3.大きな声が出しにくい児童、発音が不明瞭になりがちな児童が、それでも顔中を口にしたように努力している様子が見られました。声の出し方、発音など基本的な指導は個別、または少数の方が効果が出ると思われます。
5年生
課題 「作品を通して、作者が私たちに語りかけていることは何か」
「イメージ(情景)、感動(心情)、刺激(驚き)、を受けとめよう」
教材 「音読破
羅生門」より 芥川龍之介の作品
『くもの糸』『杜子春』『鼻』『魔術』『トロッコ』『羅生門』『蜜柑』
【 学習の形態 】
① 作品の音読
② 難解な箇所の補足説明
作品の背景、構造、意図などを簡単に補足する
必要と思われることをノートに書き留める
③ノートに感じたこと、考えたことを書く
【 学習のめ
あて 】
作品を通して作者に出会うこと
作者の感動にふれること
文章の妙味にふれること
(学習を終えて) 1.指導者側が読解指導に流れそうになるのを心して抑えることが必要です。『くもの糸』『杜子春』『鼻』などは「面白い」と受けとめていました。 2.作品に出会う児童たちの理解力には、差があるのは当然です。 3 .毎回ノートを集めてみると、考えたことや感想が書けているノートは全体の三分の二程度のこともあります。しかし、何も書けていないノートの空白から、様々な声が聞こえてきます。「難しすぎるよ」「思っているのだけれど、言葉が出てこないよ」「わからない」「時間が足りないよ」などです。 4.写真は最後に読んだ『蜜柑』の授業風景です。「『羅生門』は気持ちが悪いよ、もうこれはいいよ」と書いていた児童たちでしたが、「三等車の切符を持って二等車に入ってきた小娘の様子」も「弟たちに投げてやった蜜柑の鮮やかな色彩」も「お姉さんの優しい心」も、よく見ることができたようです。今まで消極的であった児童が、自分から手を上げて音読をしてくれました。 5.いつの日にか、「ぼくたちは5年生の時、芥川の作品を読んだね」と思い出してほしいものです。 |
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* NDトピックス
本年度
後期は1年生と2年生が「特別国語」の授業を受けます。
今までの「特別講義国語」で扱った古典的作品
・古典的作品:ここでいう「古典的作品」とは、多くの人に読み継がれてきた有名な作品のことです。
『山月記』、『木を植えた人』(ジャン・ジオノ)、『千恵子抄』(高村光太郎・抜粋)、『あめだま』(新美南吉)、『清兵衛と瓢箪』(志賀直哉)、『美を求める心』(小林秀雄)、『竹取物語』・『浦島太郎』(文語
文)、『月夜と眼鏡』(小川未明)、『じゅげむじゅげむ』(落語絵本)谷川俊太郎作品、レオ・レオニ作品など