美しくさわやかな秋空のもと、太鼓クラブの威勢のよいお祭り音頭とともに、今年の学院祭バザーが開会しました。下鴨本通りまで元気な子どもたちの演奏が響いていた、と通行人の方からあとで聞きました。「今年の太鼓クラブは、みんな3年生の子どもたちだったのですよ」と言いましたら、力強い響きだったと感心しておられました。太鼓クラブの皆さん、ありがとう。きっと、太鼓の音で自然に足がノートルダムに向いた人もあったことでしょう。

 今年は校舎の見納めということもあり、いつもより卒業生が多かったように思います。大学生や中学・高校生、そして社会人、それに、まだ浪人中とか自分で言う卒業生たちに会いました。卒業生はノートルダムの宝です。いくつか感動した出会いがありましたので、ひとつだけ、ご紹介しましょう。
 朝早く同窓会の担当のテントに行きましたら、すでに何人もの卒業生が準備をしていたようですが、遠泳でもお世話になった何度も見たなつかしい顔の青年が私のところに来て、挨拶してくれました。
 “シスター、ぼく就職試験に合格しました。消防士になる夢が実現しました。嬉しいです。頑張りま~す”
 と言って右手を差し出してくれたのです。思いっきり強く握手しました。もう感激でした。そういえば、3・11の大震災の直後、「自分の将来の仕事に消防士を選びたい」、というような話をしてくれたあの青年だったのです。「命を落とすかも知れない大変な職業よ」、と私が言った時、
 “はい、そのつもりで選んだのです。おじいちゃんも、消防士でした。”
 と誇らしく話してくれたあの青年がバザーの手伝いのために、朝早くから来ていたのです。聞くところによると150人もの志願者のうちからたった5人だけが合格したのだとか・・。「おめでとう そして ありがとう」と言いかけたのですが、胸がいっぱいになり、言葉が続きませんでした。私はこの卒業生を心から誇りに思いました。
 卒業生や保護者の皆様のおかげで、小さな子どもたちから大人まで楽しく過ごさせていただけた学院祭バザーでした。中学2年生の卒業生が
 “メッチャ タノシカッタ ”
と満足げに言っていました。

 バザーを成功させてくださった全ての皆様に感謝いたします。ありがとうございました。卒業生には、ノートルダムファミリーのつながりの中で、いつまでも在校生の憧れとして、自分の光を輝かせ続けてほしいと願っています。感謝。

ノートルダム学院小学校名誉校長 シスターベアトリス田中範子