教師という仕事上,児童には挑戦しよう,苦しいことから逃げ出さないで,などよく言う言葉かけです。特に体育を教えている身としては,運動が苦手な児童にはマラソン大会の練習をはじめ 1 年間様々な場面で声かけを行います。

 自分自身は苦しいことから逃げていないか。児童には言っているけど自分はどうか,と考えているとすぐに一つ思い当たることがありました。

 自分が大好きな自転車で,大阪―東京を走ること。昨年は様々なトラブルが続き東京を出発し,ちょうど中間点の浜松でリタイアしました。

 今年は,自宅の大阪から東京駅に向かおうと,昨年失敗したので,もう1度自分に挑戦を課しました。出発前には,体育を受けもっているクラスで,東京に自転車で向かうと言い,自分に発破をかけました。

 そして,自宅を朝 3 30 分に出発し,静岡に 23 時に到着。ホテルに宿泊し,朝 6 30 分に静岡駅前を出発, 18 30 分に無事東京駅に到着しました。合計距離は 530 キロでした。非常に長い時間自転車をこぎますので,当然自分の心の中に弱い部分が出てきました。しかし,それに打ち勝ち,しんどくても自分に負けない。その心を持ち続けました。途中,静岡では真っ暗の中,宿までなかなかつかず心が折れそうになり,箱根峠では道の険しさに心を打ちのめされ,新横浜では内臓が痛くなり,しんどく,ここまでくれば成功だろうと妥協しそうになる心も現れました。このまま新幹線に乗ろうか,とも思いました。 無事東京駅に着いた際は,感動よりも安堵感にあふれましたが,すぐに新幹線のチケットを取るために気持ちを切り替え,慌しかったように思います。

 児童たちは様々なことに挑戦しているでしょう。例えばサッカーの試合でがんばる,ピアノの発表会まで一所懸命練習をする,計算大会で 100 点を取る,などです。 6 年生の児童は今まさに中学校というゴールに向かって走っています。そこにはまだまだ険しい道が待っています。ただ,道の途中で自分勝手に限界を作らず,今できる頑張りを続けていくことで,一歩ずつ進んでいけると思います。足を休めず,ゆっくりでいいので進んでいくことが重要だと,この挑戦を通して改めて感じました。自転車で走る際は風も走りに影響します。追い風のときは知らないうちに楽に前に進め,向かい風になったとたん風をうらむものです。大人が子どもの挑戦に対して,子どもに知られなくてもいいので追い風となれるようにしてあげられるようにサポートしたいですね。

 このブログを読まれている大人の方も子どもにがんばれ,がんばれ,と応援だけするだけではなく,たまには何か好きなことでもいいのでしんどいことに挑戦されてはいかがでしょうか。意外に自分はまだまだがんばれると発見できるかもしれません。ただし,体を酷使した際は,大きなしっぺ返しがあることもお忘れなく。私は,1週間たっても手の痺れが取れません。がんばりは,ほどほどに。

(写真は富士山。山頂に雪は見られませんでした。)

 

6年生 副担任 中藪 大意樹