1年生担任 鎌田裕子 遠藤克哉 三田暁美
秋田幸絵 オーガスティン真智
建林美紀子(生活総合担当)

 秋,朝顔の種が沢山出来た頃,子どもたちは「この沢山の種を誰かにあげたいな。」という気持ちになりました。お世話になっている2年生や6年生のお兄さんお姉さん,そしておうちの人にあげたいと考えました。おうちの人には,種だけじゃなくてほかの形で伝えられたら・・・と考え始めました。そして一番お世話になっている人に喜んでもらいたい,と考えを決めた子どもたちはお茶会を開いてありがとうの気持ちを伝えることに。

 自分たちが『きらめいて』過ごせているのは家族のおかげ。感謝の気持ちを伝えるすてきなお茶会にしよう!!とスタートしました。

 まず最初に,招待したい人が誰なのかを考え,その人にどんな『きらめき』を伝えたいかを考えました。『きらめき』は,目には見えないものなので,どうしたら伝わるかも考えました。

 子どもたちは,「姿勢を正して丁寧に運びたい。」「頑張る気持ちを見せたい。」「おいしいお菓子を作っておもてなししたい。」ととても意欲的でした。

 

お客様をおもてなしするために,「光のかざり」「座布団カバー」「メッセージカード」を図工の時間に作りました。

「お茶碗の絵付け」

 お茶会でお抹茶を点てるお茶碗も自分で絵付けします。このお茶碗は仁清素地に赤絵の絵付けを施したもので,思い思いの図柄を考えて面相筆で描きました。絵付けしたお茶碗は宇治市炭山にある西村徳泉氏の工房にて西村徳哉氏によって焼いていただきます。

  世界で1つだけのお茶碗ができました。

「あさがお・サツマイモの蔓のリース」

夏に自分の鉢で育てたあさがおの蔓や山の家の畑で育てたサツマイモの蔓でクリスマスリース飾りをつくりました。自然の素材を使用して作ったリースは温かみがあり,寒い冬に温かい雰囲気を演出してくれました。中にはドングリや木の葉を飾りつけているリースもありました。

 お客様の荷物やコートを置いておく部屋「お待合」にも飾り付けがいるなぁ,と「クリスマスかざり」も制作しました。この飾りの素材はビーズ粘土という粘土で,軽くて手につきにくいのでとても扱いやすいものです。子どもたちは,楽しくそして手早く飾りを制作していました。

 

学習を進めていく中で,私たちのために、おうちの人がどんなことをしてくれているのか? こっそり探してみました。

 

 

 前日には和菓子作りをし,おもてなしの最終仕上げをしました。

上七軒にある有職菓子御調進所「老松」より職人さんに来ていただき,直接教えてもらいながら和菓子作りをしました。クリスマスのシーズンなのでクリスマスツリーをイメージした配色でキラキラと輝いているお菓子。御菓名は「きらめき」です。

先輩たちも大茶会を応援してくれました。華道クラブの先輩が,未生流笹岡家元の笹岡隆甫先生のご指導のもと舞台のお花を活けてくれました。

これまでの礼法で,お辞儀の仕方や立ち方,座り方等を学習した1年生の子どもたち。言葉はなくても立ち振る舞いを通して相手に気持ちを伝えられるということを少しずつ学んできました。お茶会では,今までに習ってきた真行草のおじぎやお運びの作法,お茶を点てることを丁寧な気持ちでおもてなししました。


お茶会の後には,「きらめき」の雰囲気の中で「きらめく」舞台発表もしました。

1年生で学習した「英語版 神様へのお祈り」「音読 竹取物語」「音読 論語」「アヴェマリアのお祈り」「歌 twinkle twinkle little star」「歌 きらきら きらきら」等,入学してから今までに学習した成果を発表しました。そして,最後に自分が「きらめいて」いられるのは家族やまわりの方々の支えがあってのことだと「感謝の気持ち」「ありがとうの言葉」を伝えました。

保護者から,「大変感動した。」との感想をいただいたり,偶然来校し見学した卒業生からも「子どもたちが一生懸命歌う姿を見ていたら涙が出てきた。」という感想をいただいたりしました。子どもたちは、この大茶会を終えて,自分たちのおもてなしをお客様に喜んでもらえたことへの達成感を感じ,家族への感謝の気持ちが芽生えていったようです。おうちに帰ってからミニお茶会を開いた子ども。来年も大茶会をやりたいと考える子ども。日本の文化を肌で感じながら,感謝の気持ちや人を思いやる心を持ち続けて家庭でも学校でも過ごしてほしいと願っています。

最後にお世話になったシスターやお母様へ感謝の気持ちを伝えました。

 

 NDトピック

 本校の低学年での礼法学習は

・日本の伝統文化を見直し,日本に住んでいることを意識し,国際性の育成を図る。

・礼節を重んじ,人を思いやる心を育み,人とかかわることの楽しさを味わう。

ことを目標に学習を進めています。

 この大茶会(礼法学習)は,2000年度に敬老茶会という形で始まりました。今では,たった1つの席に家族の中のどなたが座るのか,と家族会議が開かれるご家庭もあると聞いています。それくらい定着してきた行事であるともいえます。毎年,その学年の雰囲気や子どもたちの能力を最大限に発揮できるよう,学年の担任団が可能性を探り,試行錯誤しながら今日まで続けられています。