山の家の恵まれた自然の中で、自然観察を満喫する3年生の学習を紹介します。

3年生4月、5月の山の家学習では、「山の家生き物図鑑をつくろう」というテーマで、山の家の生き物をたくさん調べました。生き物なので、植物でも動物でもかまいません。学校での理科の時間に、春の野原の生き物について学習していたので、野草や昆虫などの名前はいくつか頭に入っている子どもたちでした。しかし、山の家の生き物は、数多く、見たこともない生き物もたくさん見つかりました。珍しい草花では、マムシグサ、ウマノアシガタなど、図鑑とにらめっこしながら名前を同定していきました。昆虫なども大人気で、ゾウムシ、ナナフシ、サワガニなどに出会えたのも驚きでした。

中でも、子どもたちが熱を上げていたのが、昨年の台風被害のときに倒れたクヌギの木の丸太が置いてあった地面の下からたくさん見つかった、クワガタやカブトムシの幼虫です。大きな幼虫にびっくりしながらも、じっくり観察すると、頭の角でクワガタかカブトムシかを見分けられること、枯葉などを食べているので茶色いうんちをすること、子どもたちはいろいろなことを発見していました。

見つけた生き物は、まずはじっくり観察し、スケッチします。

スケッチのきまり

1.    実物より大きくかく

2.    1本の線ではっきりかく

3.    じっくりよく見る

このきまりを実践するために、学校では、理科テラスで見つけた「オランダミミナグサ」を使ってスケッチの練習をしました。理科のスケッチは、見えた通りに正確に特徴を捉えてかきます。図工の時間とは少し違って、描き上がったものは、作品というよりも図といった感じです。子どもたちは、真剣に生き物に向き合ってスケッチに取り組みました。生きていた草を観察するために1本ずつもらってきたので、ここで標本にする練習もしました。

山の家でスケッチし、特徴を見つけた生き物は、学校で図鑑を使ってさらに詳しく調べてみました。山の家の生き物は、学校に持ち帰らない約束なので、今回はiPadを使って写真撮影をし、写真を見ながら図鑑を調べている子どもたちも多かったです。

今回の学習を通して、子どもたちは身近な自然をじっくり観察し、生き物の体のつくり、色、形など細かいところまで時間をかけて調べることができました。何を食べて、そのためにどんな口の形をしているのか、バッタはどの足で高くジャンプしているのか、幼虫と成虫のちがいはどこなのか、花のどの部分が実になるのか・・・生き物をいろいろな角度から観察し、長い時間向き合うことで、生き物の暮らしや過ごし方などの見えない部分まで知ることができました。子どもたちには、普段は通り過ぎているところに隠れているおもしろさを発見することで、これからの観察の幅を広げていってほしいと思います。生き物の名前を知ることだけでも、「もっと知りたい!」の第1歩だと思います。名前がわからない生き物を、似ているものから推測して同定していく楽しさ、生き物の賢さを知り、感動する楽しさをこれからの山の家学習で、もっともっと味わっていってほしいと思います。身の回りの自然を敏感に感じ取ることができる心は、子どもたちの感性を育てます。山の家学習を通して、子どもたちの豊かな心が育っていくことを願っています。

 

生活・総合科主任
3,6年生 理科担当
神先 雅巳