本校では、夏休みに社会科部主催で「社会科ズームアップ」という有志参加の校外学習を行うのが恒例となっています。

子ども達に「さわって、見て、感じる」心を養ってほしいという願いから始まったこの発展学習は、夏休み期間中に有志の児童を募り、社会科部をはじめとする本校教員が引率して、歴史分野や地理・産業分野などそれぞれのテーマに沿った場所を訪れ、見学や体験学習を行っています。

今年度も参加した子ども達は、見てきたこと、学んだことを自由研究として深め、それぞれの研究を作品にしました。提出作品は「夏休み自由研究作品展」に展示され、多くの人に見ていただきました。

5年目を迎えた「社会科ズームアップ」、今年の夏休みは次の7コースを実施しました。(「社会科ズームアップ」は冬期にも実施しています。)

2008年度 社会科 パワーアップ ズームアップ

トヨタ工場コースA (8月1日実施)

トヨタ工場コースB (8月4日実施)

水の都・京都コース(8月6日実施)

東大寺・薬師寺コース(8月7日実施)

宇治・平等院コース(8月11日実施)

関ヶ原合戦コース(8月20日実施)

信楽焼・たぬきに変身?
焼き物体験コース(8月21日実施)


トヨタ工場コースA  (8月1日実施)  対象:5,6年

 
 
訪問地:愛知県トヨタ工場、トヨタ記念館、産業技術記念館

愛知県豊田市のトヨタ工場は、日本でも特に見学希望が多い自動車工場です。今回のAコースでは、午前中にトヨタの元町工場を見学しました。ここでは、溶接と組み立ての2つの工程を間近に見ることができました。実際の作業を目の前で見るだけでも、大きい経験です。これに加えて、トヨタを支える考え方=「カイゼン(改善)」についても解説をしていただきました。常に自分たちの仕事を見返して、改良できることを見付け「改善」を実行する、その姿勢に改めてトヨタのすごさを感じました。
午後は、産業技術記念館に行きました。トヨタ自動車は、元をたどると豊田自動織機という織物の会社に行きつきます。織物作りで得た利益を元手に自動車会社を興したのでした。この記念館では、創業者・豊田佐吉の織機で行った発明を説明してもらい、技術革新の歴史を肌で感じました。

トヨタ工場コースB (8月4日実施)  対象:5,6年

 
 
訪問地:愛知県トヨタ工場、トヨタ記念館、名古屋城

トヨタ工場Bコースでも、Aコースと同じく、午前中はトヨタ工場で見学を行いました。
午後からは、名古屋城に行きました。JR名古屋駅からほど近く、名古屋市の中心部に位置する名古屋城は、「尾張名古屋は城でもつ」とうたわれたほどの立派なお城でした。お城そのものは、太平洋戦争中に空襲で焼け落ちてしまいましたが、現在の復元されたお城は、建物全体が博物館になっており、戦国時代から江戸時代初めにかけての歴史、大名たちの様子、人々のくらしなどを学ぶのに絶好の場所です。この日は、観光協会からボランティアガイドの先生に来ていただいて、くわしく説明をうかがいました。時を忘れてお話をお聞きするうちに、あっという間に閉園時刻になってしまいました。

水の都・京都コース (8月6日実施)  対象:3年

 
 
訪問地:京都御苑、梨木神社、京友禅体験工房・丸益西村屋、京都絞り工芸館

しばらく前にNHKスペシャル「アジア古都物語」のシリーズで、京都が『水の都』として紹介されたことがありました。このコースは、そのことに着想を得て作られたものです。京都は、平安時代から地下水脈の豊富な都で、染め物、和菓子、お酒など、あらゆるものにその美しい水が利用されてきました。今回は、ボランティアガイドの先生に一緒に引率していただき、京都御苑内の『御所三名水』から出発して、友禅染、そして京絞りと、いずれもこの『水』と関わりの深いものを取り上げました。友禅染・京絞りについては、体験学習を行いました。それぞれの工房では、懇切丁寧に染め方・絞り方を教えて下さり、また建物内を見学させて下さいました。引率した教師にとっても、今後の新しい伝統産業のあり方について考える、とても貴重な体験になりました。

東大寺・薬師寺コース(8月7日実施)  対象:5,6年

 

訪問地:東大寺(奈良の大仏、大仏殿、二月堂、正倉院)、薬師寺(見学と法話)

東大寺、薬師寺は、奈良時代に国家によって建てられ、また守られた、非常に有名な寺院です。しかし、それぞれがこれまで歩んだ道のりは、決して平坦なものではありませんでした。ときには戦乱によって焼け果て、ときには経済的な苦しさからすっかり荒れ果ててしまった、そんな時代が幾度となくありました。その苦況を救ったのは、お寺の再興に情熱を傾ける僧侶や、それに応えた民衆の存在でした。両寺院とも、そのことがうかがえる品々、逸話がのこされているのです。ボランティアガイドの先生にご一緒いただいて、共に歩を進めながら、その痕跡を追いました。また、薬師寺では、今年で4度目になりますが、小林澤応様から法話をいただいています。

宇治・平等院コース(8月11日実施)  対象:3年生以上

 
 

訪問地:宇治川体験、平等院(鳳凰堂)、宇治上神社

今ではお茶の産地として有名な宇治ですが、平安時代、ここは都の貴族たちにとって、一大別荘地でした。西方から阿弥陀如来様が迎えに来て、極楽浄土へと連れて行って下さる ― いわゆる「阿弥陀信仰」を代表しているのが、平等院鳳凰堂です。5年目を迎えたズームアップ宇治コースですが、大がかりな修復を終えて、初めて堂内に入ることがかない、阿弥陀如来像を拝ませていただくことができたのです。本校では3年で、地域学習として京都の世界遺産を勉強しますが、今年もたくさんの3年生が参加しました。平等院から宇治上神社、そして宇治川をさらに上流へと上って、千年前に想像をめぐらせることができました。

関ヶ原合戦コース(8月20日実施)  対象:5,6年

 
 

訪問地:関ヶ原戦場跡、関ヶ原ウォーランド、陣地跡、首塚、歴史資料館

岐阜県関ヶ原市、天下分け目の合戦が繰り広げられた場所を訪れました。関ヶ原では、武将たちの巧妙かつ熱い思いがぶつかり合った陣地跡をボランティアガイドの先生とともにめぐりました。何と言っても東軍・徳川家康と西軍・石田三成の陣地は迫力があり、当時の様子を思い起こさせる臨場感がありました。午後には、関ヶ原ウォーランドに立ち寄り、等身大サイズの武将達とともに、関ヶ原の合戦の様子をたどることができました。
実際に歴史の舞台を訪れ、その時を生きた人物に思いをはせる・・・。これほど学び深きものはありません。良い学習の一日となりました。

信楽焼・たぬきに変身?焼き物体験コース(8月21日実施)  対象:4,5年

 

訪問地:信楽焼窯元散策、陶芸丸克センター

「伝統工芸を体で知る」―ズームアップ信楽コースでは、実際に窯元を歩いて回りながら、昔から伝わる焼き物の町に親しむとともに、陶芸教室で一人ずつろくろを用いて、信楽焼を作りました。
慣れないろくろで初めての陶器作りを体験しました。コップ、どんぶり、花びんなど、四苦八苦しながらも、自分だけのオリジナル信楽焼を作りました。― 焼き上がるのは1ヶ月後。子ども達は楽しみに出来上がりを待っています。

 

――各地でお世話になりました皆様に御礼申し上げます。――