今回の授業は、3年生の「未来の私」について取り上げます。この「未来の私」は、毎年行われる美術展の3年生の出品作品の一つです。

<本課題のめあて>

•段ボールカッターを自由自在に使うことができる。

•20年後、30年後の自分を想像することができる。

•自分をかたどってもらった形を整えながら、イメージに合った形にすることができる。

•形や色にこだわって作品づくりができる。

 

1 .導入

 

 まず、20年後、30年後の自分が一体何歳なのかな?と計算してみました。8歳、9歳の児童ですから、20年後は28歳から29歳、30年後は38歳から39歳。おそらく立派な男性・女性になっていることでしょう。20年後30年後いったい自分は何をしているのかな?と想像してみます。「お医者さん」「研究者」「サッカー選手」「学校の先生」「ペットショップ屋さん」などそれぞれの思い描く未来がありました。その職業やなりたい人物像だけでなく、「人の痛みがわかるお医者さん」「フリーキックが上手いサッカー選手」などどんな人になりたいのかも考えさせます。そうすることで、作品の人の表情やポーズが変わってくるからです。

 

2 .素材について

 

3年生の身長に合わせ、1000×1500ミリのサイズの段ボールを用意しました。自分の体がすっかり隠れる大きさです。段ボールは、段ボールカッターを使用します。使用する際には、使う場所や使い方を指導してから使います。

 

 

3 . 作品づくりⅠ 友だちをかたどって あげよう!

友達とペアを組んで、段ボールに寝転がり、お互いの思いのポーズをかたどってあげます。このシルエットから顔や洋服、持ち物をどんどん加えていきます。形の歪みを直したり、細い部分の修正をしていきます。時々作品を遠くから眺めて、満足いくまで描き加えていきます。顔は、手鏡を使って描きます。20年後の私はいったいどんな大人になっているのか想像します。

 

  

 

   

その後、段ボールカッターで輪郭をどんどん切っていきます。段ボールが切れる時の触感は気持ちがよく、段ボールの断面の美しさに見とれている児童もいます。また、児童にとって段ボールの端材も魅力的なものです。偶然にできた形を見立てて、体に纏ってみたり、持ち物にしてみたりと楽しんでいます。そうして、切り取った瓜二つの自分を見て、今の自分の大きさに感動することになります。

 

次に色を付けていきます。

大きな面積を塗るため、共同絵の具を使います。いつも使っている各自が持っている絵の具のチューブ12ml。その30倍の大きさの260mlの絵の具をお皿に出すのも児童にとって関心事です。また、何十種類の絵の具を並べるので、その中から選ぶ楽しみもあります。普段なら、机の上でする作業も床で行うため、とても解放感があります。

  
 

ここで注意するべき点は絵の具に対する溶かす水の量です。水の量が多いと作品が反ったり、絵の具が垂れたりするため、絵の具と水の配分に気をつけながら塗っています。

 そうして、「未来の私」が完成していきます。

 

作品の乾燥や作品の保管、展示のため、 作品の裏には針金ハンガーを変形させ、作品の裏側からガムテープでしっかり固定します。この作品づくりの間、図工室前のアーティステックギャラリーは144人の「未来の私」が仲良く並んでいます。

  【本校の美術展について】

  本校では、1年間の図画工作科の授業が、児童にとって自身の成長を振り返り、達成感や充実感・満足感を味わえる場としています。年に1度本校講堂で全学年の作品を展示し、他の児童の表現を鑑賞することで、表現の幅を拡げる機会ともなります。上級生の作品鑑賞は、次年度の製作意欲にも繋がります。また、下級生の作品鑑賞からは、面白さやダイナミックな表現方法を発見することが出来ます。どの作品からも多くの学びがあります。今年度の美術展は、2月2日(木)から8日(水)まで行う予定です。児童一人ひとりが一生懸命製作した作品を是非、ご覧下さい。