学校長卒業式式辞 ―第60回 卒業式―
「第60回 卒業式」における学校長式辞を抜粋して掲載いたします。
第60回 卒業式 学校長式辞
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6年生の皆さん、卒業おめでとうございます。
保護者の皆さま、お子さまのご卒業おめでとうございます。
お子さまが、6年生に手を引かれてこの講堂に入ってきた入学式から、早、6年の歳月が流れました。これまで、本校の教育方針に、ご理解とご支援を賜りましたことを深く感謝申し上げます。
また、司教様をはじめ、ご来賓の皆さま、ご多用の中、巣立っていく子ども達のために、感謝の祈りの式にご臨席賜り、心より御礼申し上げます。ありがとうございます。
卒業生の皆さん。
皆さんは、人生で最も大切な土台づくりの時期をこのノートルダム学院小学校で過ごしました。卒業に際し、この小学校のことを、今一度、振り返ってみましょう。
私たちの学校の創立者マザー・テレジア・ゲルハルディンガーは、建学の精神として、次の3つのことを挙げました。「可能性の開花」・「世界的視野」・「貧しい人を優先」です。
マザーがいかに、先見の明を持っておられたかが分かります。
「アクティブ・ラーニング」は「可能性を開花」させるために。
「グローバル教育」は「世界的視野」を育成するために。
「カトリックの教えをもとにした心の教育」は「貧しい人を優先」するために。
1800年代、マザーによって掲げられたこの精神は、今の私たちの教育にも通じています。
また、マザーは、ウィットマン神父の次の言葉を胸に、授業を行われました。
「先生とは、子どもに勉強を教えるのではなく、子どもの中にある素晴らしいものを見つけ、子ども自身がこれに気づき、自分でこれをのばすように助けます。」
マザーの意志を受けついで、先生達は、皆さんと一緒に過ごしてきました。
みなさんは、この小学校で、色々なことを学び、経験してきたはずです。その経験をこれから十二分に生かしてください。皆さんの活躍こそが、私たちの目標であり、やりがいなのです。
次に、ノートルダム学院小学校の教育モットー「徳と知」について考えてみましょう。
私たちの生活は、様々なかかわりによって成り立っています。かかわりの中で成長するように神から招かれているのです。
かかわりそのものを「尊び」、向き合って「対話」し、まごころから「共感」し、勇気と希望を持って「行動」することが、このノートルダム学院小学校の教育モットー「徳と知」を実際に「生きる」ことなのです。
もう少し詳しく話します。
私たち人間は、1人では生きていけません。人間は、生まれるとすぐ、母親とのかかわりの中で成長します。そして、父親、兄弟姉妹、友だちや先生と関わり、ものや自然ともかかわりながら、生きていくのです。誰かや、何かに支えられ、助けられ、迷惑をかけながら、常にかかわりの中で生きていくのです。
修養会を思い出して下さい。修養会で、京都教区・大塚神父様に「いのち」についてお話を頂きました。その時、神父様から このカードを頂いたのを覚えていますか。
この「いのち」という歌は、宮崎にあるカリタス修道女会のシスター古木が作詞作曲されました。歌を聴いたことがないと思いますので、ここで歌を聴いてみましょう。保護者の皆様は、式次第に挟んであるカードを観ながらお聴きください。
~ CD「いのち」を流す~
この歌詞にあるように、たった一つの「いのち」だから、尊いものであること、お父さん、お母さんはじめ、家族に守られて この「いのち」があり、ひとりぼっちの「いのち」ではないこと、心と体が傷つくことがあったとしても「いのち」は、かわらないこと。
神様から かけかがえのない「いのち」を頂いている私たちにとって、この「いのち」を大切にし、尊ぶことが、私たちの使命であると考えられます。
また、大塚神父様は、修養会の講話の中で、ご自身のことをお話しくださいました。未熟児で誕生され、当時の医療では、大きく育つ確率は低かったにもかかわらず、こうして今の自分があるのは、「いのち」の奇跡であるとおっしゃっていました。
生きている間じゅう一人ではない、神様にいつも守られている、と感じること、そして、その大切ないのちを大事にしていくことが、私たちに求められているのではないでしょうか。
卒業生の皆さん、ノートルダム学院小学校を卒業後、中学、高校、大学へと進み、もっと先は、今の常識からは予測できない社会を生き抜いていかねばなりません。このノートルダム学院小学校での学校生活の中で身につけた経験こそが、未来を「生きる力」へとつながっています。
これから、今まで以上に、自分で考え、自分で判断し、自分で行動することになります。その時、自分のためだけではなく、「人のために」という視点を持ってください。神様からみな、平等に与えられた時間を使うとき、「人のために」という視点を持って考え、判断し、実行する方が、将来がより豊かものになることを、皆さんは体験的に知っているはずです。
さあ、これから、司教様と一緒に祈ります。神様が、皆さんの前途を祝福してくださいますように。
6年生の皆さん、卒業おめでとうございます。
(2019年3月15日)
登録日:2019年3月18日/更新日:2019年3月28日