「第59回 卒業式」における学校長式辞を抜粋して掲載いたします。

第59回 卒業式 学校長式辞

　6年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。保護者の皆さま、お子さまのご卒業おめでとうございます。お子さまが、6年生の上級生に手を引かれてこの講堂に入ってきた入学式から6年の歳月が流れました。在籍中には、何かと学校の方針にご理解とご支援を賜りましたことを感謝申し上げます。また、司教様をはじめ、ご来賓の皆さま、今日はこの学校を巣立っていく子ども達のために、前途を祝し、感謝の祈りの式におあずかりくださいますことを、心より御礼申し上げます。ありがとうございます。
　卒業生の皆さん、皆さんは6年間、大きく成長するこの大事な時期にノートルダム学院小学校で学んできました。小学校の生活では、様々な体験を通して、将来に必要な力をつけてきました。教えられたことをそのまま行うのではなく、主体的に考え、判断し、実行するよう努力をしてきました。小学校で勉強してきたことがすぐに役立つわけではありません。自分にとって何が必要で、何が必要でないのか、取捨選択をしていかなければなりません。選択したものが必ずしも成功につながるとも限りません。何か物事を行う時には、本当にこれで良いのかどうか、少し立ち止まって考えることが大切です。この判断をするために小学校では、多くのことを学んできたのです。時には、無駄と思えることも将来どのように必要になってくるか分かりません。みなさんは、そのために一つひとつ身につけてきたのです。
　ちょっと思い出してみてください。皆さんが入学した2012年は、どんなことが起こった年だったか覚えていますか。関西ではあまり関係ないかもしれませんが、東京スカイツリーが開業した年です。デジタル放送のための電波塔としての働きがあり、観光施設として開業しました。東京タワーは、高さが333mだったのに対し、東京スカイツリーは、634mあります。その後、多くの観光客が訪れる観光スポットになっています。また、京都大学山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞をもらった年でもありました。今では、iPS細胞という言葉は普通に使われていますが、画期的な研究成果に驚きでした。その年の新語・流行語大賞には、スギちゃんの「ワイルドだろぉ」が選ばれました。
　6年生になった今年は、冬季オリンピックが平昌（ピョンチャン）で開催され、日本は、今までの冬季オリンピックで最も多くのメダルを獲得した年でもありました。小学校の6年間を少し振り返るだけでも記憶に新しく蘇ってきます。
　さて、小学校を卒業した10年後を少し考えてみましょう。高校卒業後、専門学校に行く人や大学の4年間を終えて社会人になる人が多くいる10年後です。「10年ひと昔」という言葉があります。10年間で多くの変化があり、その変わりようは10年前と比べ物にならないほどです。けれども、今の時代は、変化のスピードは昔に比べるとはるかに早く、2・3年で新しいサイクルがやってくるほどです。今は、第3次AIブームとも呼ばれています。AIとは、人工知能のことですね。人工知能（AI）を使用した商品が普及し、便利になってきています。人工知能（AI）を搭載した車なども発売されていて、自動運転の技術もそこまでやってきているのです。皆さんが、社会に出る頃には、想像を超えた発展発達があることでしょう。そして、人工知能（AI）によってなくなってしまう職業もたくさんあるはずです。みなさんは、その目まぐるしく発展する中で社会人として生きていかなくてはなりません。今は、おうちの人や周りの人に守られ、少々のわがままがあったとしても、許してもらえる環境にいます。けれども、社会に出て行くと、そういうわけにはいきません。自分の意の通りにならなかったとしても、我慢しなくてはならないことの方が多いはずです。そういう時にこそ一歩立ち止まって、考えるときを持って欲しいのです。人間は、忙しくなったり、自分のことだけしか頭になかったりした場合、周りが見えなくなって迷惑をかけることが多くなってくるかもしれません。
　ノートルダム学院小学校の各教室には、「よく祈り、よく学び、持っている力をよく伸ばし、それを使って人に奉仕しよう」という言葉が掲げられています。毎週、宗教の時間があり、お祈りの中で生活することが当たり前のように6年間を過ごしてきました。この6年間で少々のことにはくじけない、強い力を養ってきたはずです。様々なことに対処できる力を培ってきました。自信を持って社会に出て行って欲しいのです。そして、ノートルダム学院小学校で経験したことをいろいろな場面で生かしてください。生かしていけると確信しています。
　神様が、あなたの前途を祝福してくださいますように。これから司教様と一緒に祈りましょう。神様の祝福がいつもあなた方の上にありますように。
　6年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

（2018年3月15日）

登録日：2018年3月19日／更新日：2018年3月20日