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授業紹介 クローズアップ

授業紹介 クローズアップ 6月号 算数科 「習熟度別算数」と算数授業におけるiPad活用の実践報告

登録日:2017年6月30日/更新日:2017年7月10日

「習熟度別算数」と算数授業におけるiPad活用の実践報告

5年担任・算数担当
岩城 賢三

〇 はじめに
 本校算数科学習において、習熟度別学習を取り入れて約10年となる。現在は、4年生後期後半より、この習熟度別学習を取り入れ、さらに今年度からは、算数授業に於いて、「T2」体制(教員が2人以上)を全学年で実施。研究部主題「感じる心・考える力」の育成と共に、「基礎基本の徹底」を重視して授業を展開している。
 改めて、自分なりに習熟度別算数学習について考えてみる。
教科学習の中で、特に「算数」学習については「好き」と「嫌い」、また「得意」「苦手」意識が明確になりやすく、2極化しやすいと言える。この意識の2極化は、習熟度にもつながっているように思う。算数が「好き」で「得意」な子ども達は習熟度が早く、反対に「嫌い」で「苦手」な子ども達は習熟度が遅いということである。このように「差」の出やすい算数教科において、習熟度別に学習を行うことは、大変効果的であると考える。
 理由としていくつか挙げる。

〇 習熟度別算数の利点
 まず、児童のニーズに寄り添いやすい点である。習熟度の早いグループの児童は、基本的な問題の繰り返しよりも、発展的な問題にチャレンジしたいという願望をもっているし、逆のグループの児童は、基本的な問題をゆっくり丁寧に教えてほしいと願っている。こういったニーズに応えられるということは、子ども達の学びに対する意欲を損なわず、持続しやすくする。統一クラスでは、今まで「物足りなさ」や分からないまま進んでいってしまう「不安」等を抱える場面が多かったと思われるが、習熟度別学習を取り入れることで、この思いがかなり解消されていると感じている。
 2点目として、児童の積極性が増すことが挙げられる。上記のニーズに応えているという点からだけでなく、得意グループの児童間には、良い意味での「ライバル意識」が生まれ、互いに今まで以上に「切磋琢磨」し、一層、理解力を高めようとする。小学校算数では、答えが1つの問題を解くことが多いが、解法の仕方、解への迫り方は様々に存在する。得意グループの児童は、他と違った解法を導こう、編み出そうとしたり、ミスが減るように一層簡単でシンプルな方法・近道を求めようとしたりする。習熟度が同じくらいなので、良い意味で競い合いやすく、積極性が増すと考えられる。
 一方、苦手グループの児童にとっても積極性が増す傾向がある。統一クラスでの授業では、苦手意識のある児童が、苦手意識により、積極性が抑えられる場面が多くみられる。「分からない」「難しい」ということが恥ずかしいという気持ちから、発言を控えることが少なくなく、意欲も下がりがちである。しかし、習熟度別学習では、周りの仲間が、自分と同様苦手意識を持っているという意識が安心感を生み、「分からない」ことを、「分からない」とアピールしやすくなっている。これは、大変重要なことである。「よく分からない」ことを私達教師が、早くキャッチでき、困難を感じる点を丁寧に指導することで「分かる」に変えていきやすくなる。変わるということは、子ども達の中に「できた!」という達成感を生む。この達成感は、それまでは「嫌い」であった算数に対して、その苦手意識を薄めさせる。子ども達の意識が変わってくると、取組み方にも嬉しい変化が現れるのは必定である。「得意」になるまでには至らなくとも、「嫌い」という意識から、課題に対して逃げがちで後ろ向きであったところから、少しずつでも前向きに変わっていくというのは、素晴らしい変化だと言える。
 習熟度に差がある統一クラスでは、「教え合い」「学び合い」などの効果が得られる。しかし、習熟度にあまり差のないクラス内でも、授業の持ち方によって「学び合い」は十分可能である。教師が、習熟度の異なる児童の役割をすることで、解法や意味を相手が納得できるよう、プレゼンテーションをするなど、今後も、一層、主体的に学ぶ児童を育てるためにも、習熟度別クラス指導の工夫を重ねていきたい。

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〇 iPadを取り入れた実践について
 iPadを始めとするICT機器の活用については、私自身の知識不足もあり、はじめのうちは消極的であった。しかし、本校児童が、いとも簡単に、また、適切にiPadを操作している姿を見て、驚くと共に、自分に経験のないことだからと活用に後ろ向きになっていたことを反省した。
 子ども達は、私達教師が、一つひとつ丁寧に操作方法を指導しなくても、こちらの想像以上に、iPad等のICT機器操作を本能的に理解できると感じている。子ども達の様子をみて、「iPadを学ぶ」のではなく、文房具としてiPadを使用し、「iPadで学ぶ」のだということを実感した。
 授業でiPadを活用し「iPadで学ぶ」ことのメリットは、たくさんある。
 まず、授業時間の短縮である。例えば、これまでは、意見を発表する際、前に出て黒板に大きく解き方を書いたり、図に示したり等、周りの児童に提示するには時間がかかっていた。しかし、iPadで意見共有アプリ「ロイロノート」を使うことによって、自分の解法、考えを書き込んだままのものを周りと共有し合うことが簡単になった。さらに、教師側もその考え方、図等を画像として取り込んでおけば、いつでもすぐに、提示することができる。さらに、書き込みを加えることも可能であるので、一層分かりやすく解説できるというメリットもある。
 本校5年生は、一人一台iPadを持っているため、互いの意見・考えを簡単にすぐに見たり確かめたりできる。以前のように挙手して、指名された児童だけの意見を共有するだけでも、時間が大幅にかかっていたのに対して、iPadで簡単に意見交流、対話ができてしまう状況にあるのだから、自然と子ども達の「対話」へのハードルは低くなっているのが分かる。また、発表のためにわざわざ準備する時間が減ることで、じっくり意見を聞く時間が増す。さらに聞く側にとっても、視覚情報を見ながら聞くので大変聞きやすく、聞くことへの集中力が増していることも嬉しい進歩である。
 前述したように、子ども達のiPadの操作能力はとても高い。そのため、プレゼンテーション作業時には画像を用いたり、色を付けたりと、自主的に相手意識をもって見やすくまとめる意欲と態度が備わってきている。容易に、自分の「ノート」「記したもの」が周りに公開されるという状況が、「自分さえ分かればよい」という考えから、「相手意識」をもってノートを書くことにもつながっている。また、工夫された友達の画像や画面をみて、もっと良いものをつくろう、という意欲が上がっていくのも見て取れる。このような状態こそが、本校の研究目標である「対話を通して自主性を育てる」そのものであることを感じている。
 よりよいiPad活用は、まだまだ開発中である。これからも、思考を深め、意見や考えの交流を行うことで、考える力を最大限に伸ばす授業をめざし、研究を深めていきたい。

登録日:2017年6月30日/更新日:2017年7月10日

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