学校長メッセージ <2019年度後期>



"子ども達の朝活"

m-srbeatrice

ノートルダム学院小学校
名誉校長
シスターベアトリス田中

 

 毎朝、子ども達は元気に登校してきます。過日の恐ろしい事件があって以来、全教職員は子どもの安全に特に気をつけています。

 学校法人の事務長先生も、毎朝7時頃から小学校の正門の前に立って、子ども達を見守って迎えてくださっています。地下鉄松ヶ崎駅のそばには、保護者様が毎朝交代で立ってくださり、お気づきになられたことを私どもに報告してくださっています。ありがたいことと感謝しています。それでも隙をねらって子どもに近づこうとする困った人もいますので、油断ができません。

 7時15分に昇降口の扉の鍵があけられます。7時過ぎから一列に行儀よく並んでいた子ども達はあっという間に吸い込まれるように教室に行き、ランドセルを置いてグラウンドへ。ノートルダムの2つあるグリーン芝のグラウンドは、すぐに子ども達の遊び場になります。この広いグラウンドは、子ども達にとって、小学校からの最高の贈り物です。今から60数年前、農家一軒一軒、計44軒を回って、ようやく学校設立のために農地を譲り渡していただいたと聞いております。

 さて、8時10分の予鈴のチャイムと同時に、美しい音楽が流れ、合唱クラブの天使の歌声が校舎内外に響きます。"ああ、ミッションスクールだな"と確認するひとときです。2時間目と3時間目の間の長い休み時間の終わりを告げるチャイムと歌声は、朝とは異なるものです。掃除の始まりも、下校の合図も、また別の曲です。一日に何回も日本語やラテン語の歌を聴いているような学校が、他にあるでしょうか。

 予鈴と同時に教室に入ると、朝読(朝の読書)の時間となります。どの教室でも、この10分間は、沈黙のうちに本を読みます。まるで休校日かと思われるほど、校内が静まり返ります。TV放送担当の子ども達は放送室で出番を待っていますが、その間でさえも読書に夢中です。たまたま、ある男の子の読んでいる本を覗きますと、小さな文字がぎっしりつまった単行本でした。内容を見て驚きました。"5年生の子どもがこんな本を読んでいる!大変だ!子どもにぬかれる~。否、もうすでにぬかれている!"と。早速、朝2時間ほど、この本を貸してもらい、ペラペラとめくってすぐに返しました。そして書店に注文し、図書館担当の先生にも話し、この類の本のシリーズを図書館にも置いてはどうか、と提案しました。"子どもから学ぶ"というのはこういうことなのでしょうか。

 朝読の後は8時25分からTV放送を通して朝の祈りが始まります。全校児童は起立し、教室の前の十字架を見上げて手を合わせ祈ります。

「神様 私たちがよくものを考え、判断し、正しいことを実行することができますように力をお与えください」

 その後は、TVを通して、編・転入生の紹介や宗教放送、諸連絡などがあり、最後にその日の給食のメニューが紹介されます。TV放送のプログラムが終わり次第、8時45分までクラスごとのホームルームとなります。

 私は毎朝、8時頃から8時45分頃までは学校中を見回り、全体の様子を見守り確認しています。ホームルームの間、先生の話に集中しているクラス、廊下を歩いている私に手を振ってくれる子どものいるクラスなど、色々です。高学年は教科担任制で、習熟度別クラス編成となっていますので、45分のチャイム後は、先生方や何人かの子ども達の移動が始まります。

 保護者の皆様

  お子様が家を出られてから1時間目の授業が始まるまでに、こんなにたくさんの様々なことを子ども達は体験しているのです。一日の始まりは、とても大切です。楽しくスタートできるように先生方が工夫しておられるのがわかります。子ども達にとっても毎朝のホームルームは大切なものなのです。

 

 

2019年度前期「父母の会会報」176号掲載
(2019年9月28日発行)