10月10日(水) 情けは人のためならず
登録日:2018年10月10日/更新日:2018年10月10日
白梅学園大学の学長をされていた汐見稔幸という方がいます。以前は東京大学の大学院で保育や教育と人間形成について研究されてこられた方です。
もうずいぶん前になりますが、ある雑誌にこんな内容の記事が書かれていました。
「娘がテストでひどい点を取ってきた時に、こう言ったことがあります。私は、『おまえのいちばん仲のいい友達は何点くらいなのか?』と聞いたのです。すると、その子は娘よりさらに悪く十数点でした。その時に、『おまえはその子に教えてあげているのか?』と聞きました。」
さらに、娘さんの行く中学校は学区で最も荒れていたのですが、あえてそこに行くことを勧めたそうです。
「その時に、『仲のよかった友達が少しずつ荒れてくる。つっぱってたときに、あの子はもう友だちじゃないと考えるのか、巻き込まれて同じことをするのか、どっちもだめだ。友だちだったら、なぜその子が荒れるのかを聞いて、味方になってあげる、それが人間を鍛えるんだ。』と何度も言いました。」
私自身、わが子にこのような言葉かけをする自信は全くありません。わが子より友達の点の方が悪いと胸をなでおろし、友だちの点の方がいいと「もう少し頑張らないと...。」と叱る。そんなことをしてしまっていることの方が多いのです。改めて考えてみると、人に教えるときは、自分がそのことをしっかり理解できていないとできないのです。つまり、教えることによって自分の理解も深まります。また、人間関係でも、自分の都合に合わせて友達になったり離れたりしていては本当の友達はできません。この人は、どんな時でも自分のことを信じてくれると思えたときに心を開ける友だちになるのではないでしょうか。
ことわざに「情けは人のためならず」ということわざがあります。この続きは、「情けは人のためならず、巡り巡って己が為」と...。
教育支援 中西 隆英
登録日:2018年10月10日/更新日:2018年10月10日