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2月21日(水) 情報通信技術の急速な拡大・発展は今後何をもたらすのか

登録日:2018年2月21日/更新日:2018年2月21日

 私の子どもの頃を振り返ってみるとこんなことが浮かんできます。学校の帰り道,自転車屋さんに立ち寄ってパンクを直す様子をじっと眺め,パンクの直し方を覚え,自分でパンクを直せるようになりました。また,家を建てている大工さんの仕事をじっと眺め大工さんの命である「かんな」,「のこぎり」,「のみ」の使い方や「刃」が欠けた時はどうするのかを尋ね,試してもらったりして家にある大切な道具をそっと出して使ったことを思い出します。鉛筆削りなどは高価なものでしたから,古いナイフを砥石で研ぎ鉛筆を削ったりしました。だから,削り方も上手になり殆ど鉛筆削りと同じくらいに削れるように腕を磨きました。冬になると父や兄が大切にしていた大工道具を使って自分の「そり」をつくり,山の斜面で滑りました。「のこぎり」や「かんな」の使い方も兄や父から習い,上手になりました。ご飯を炊く,お風呂を沸かす薪を集めるために,「なた」を担いで山に入りました。「なた」の刃がこぼれると砥石で磨いてよく物が切れるようにしました。このようにいろんな場が日常生活に必要な知識を学ぶ場でした。
 今の時代はどうでしょうか。お金を出せば,便利なものが手に入り,至れり尽くせりです。NHKに「まちかど情報室」という番組があります。主に生活の中での便利さを扱った多くのアイテムが紹介され,それを使っている様子が映しだされます。日本人の物造りの器用さに驚かされます。が,一方では,私にとっては,そんな道具を使わないで自分で考えられるのではないかと思い,また疑問視するものも沢山あります。便利なものにばかり気を取られ使ってしまうと人間の脳への刺激が少なくなり,思考力が劣り,社会性や生活力が劣るなど危惧すべきことが出現するのではないかと思います。
 ところで,前述した内容を書きたくなった理由には,便利なものにどっぷり浸り込んでいて良いのかなと思うからです。便利なものが全て良いとは限りません。使い方次第です。また,私は,朝の6時25分には阪急電車に乗るため西京極駅のプラットホームに立っています。大阪方面行きのプラットホームには多くの人が電車を待っています。イスに座っている人も立っている人も下を見て親指と人差し指を動かしています。私にとっては,異様な光景を日々眺めています。この光景はこの場だけではありません。階段を上りながら,下りながら,電車やバスの中で,車を運転しながら電話をしている人も見られます。至るところでこの光景を見かけます。何を見ているのか,聴いているのかは解かりませんが・・・。この先どうなるのかなとふと考えたくなる時があります。多くの情報が世界を駆け巡り,驚かされたり,面食らったり,楽しかったり,がっかりさせられたりの毎日です。情報通信革命といったらよいのでしょうか,それがすごいスピードで波のように押し寄せ,そのことに振り回されているようにも感じます。何か人としての暖かみが伝わってこない気がしてなりません。この先私たちの生活は一体全体どう変化していくのでしょうか。
 昨年の10月,けいはんな学研都市で「けいはんな情報通信フェア2017」が開かれ,会場には新聞紙上やメディアサイトでさかんに謳われている「自動運転に備えたドライバーモニタリングシステムやスマートシティーセンシング,カメラと人工知能(AI)を用いた商品識別技術,多言語自動翻訳技術,災害情報分析技術など,最新技術の到来を予感させる催しがあったそうです。
 その催しの初日,ゴリラが専門の霊長類学者で京都大学の山極寿一総長が

AIにはできない人間の幸せ
~ゴリラから見たコミュニケーションの進化と人間社会の未来~

という題で次のような講演を行いました。(11月11日(土)朝日新聞の記事より)
 「人間は700万年間の進化史の全てにわたって情報通信革命を進めてきた。方向性は一貫していて,近年それが加速したに過ぎない。しかし,残念なことにその変化の速度に人間の身体がついていけないため,近年ふえている心臓病,脳卒中,アレルギー性疾患,糖尿病などの慢性疾患と同じように,情報通信技術と人間の身体は不具合を起こし弊害が発現し始めている。」と述べ,「今それをきちんと見定めた上で,賢く技術を開発し応用できれば,人間にとって幸せな新たな経済社会を構築することにつながる。」と示し,そういう社会を構築する,今後に向けた根拠と説明をゴリラが専門の霊長類学者らしい鋭い眼で眺め,以下のように示しています。
 総長は,「情報通信技術の発展は人口規模の急速な拡大によってもたらされたものであるが,多くの人々を繋ぐ役割を果たしきれているだろうか」と疑問を投げかけ,「言葉」や「五感」による信頼関係に結び付けての推論を次のように展開しています。「言葉は人間が広く分散しながらも,情報を交換し合いながら信頼できるつながりを保つ仕組みだった。そして,脳を大きくした人類は言葉によって視覚と聴覚を広げて情報世界を広げ,他の五感によって信頼関係を保持してきたのではないか」と推論を展開しています。
 続いて信頼関係の負となる部分を次のように示しています。
 「近年,ネットやスマホで得られる視覚,聴覚は格段に増えた。センサー技術も進み,人間の五感を超える分析が可能になった。しかし,人間はまだこうした技術を使って,信頼する仲間の数を増やせないでいる。100万人を超える都市に暮らしながら,信頼できる仲間は150人を大きく上回ることは無く,しかも,顔を合わさずに連絡を取り合うため身体感覚で繋がることができず,強固な信頼関係をつくれないでいる。」
AI(人工知能)については次のように述べています。
 「これからAIを用いた情報通信技術は,あらゆる情報をデータにして物や人のネットワークを密にしていくだろう。それは安全な環境をつくるのに大いに役立つはずだ。だが,現代は安全イコール安心ではない。安心は信頼できる人の輪がもたらすものだからだ。いくら安全な場所にいても,仲間に裏切られればたちまち危機に見舞われる。私たちは今豊かな情報に恵まれながら,個人が孤独で危険に向き合う不安な社会にいるのである。仲間と分かち合う幸せな時間はAIにはつくれない。それは身体に根ざしたものであり,効率化とは正反対なものだ。それを賢く組み込むような超スマート社会を構想する必要があると私は思う。」と閉じています。
 山極寿一京都大学総長によると,現代人の脳容量は1500ccでゴリラの脳の3倍だそうです。これは150人程度の集団で暮らすのに適合するのだそうです。現代に暮らす狩猟採集民の平均的な村の規模は150人ということです。40万年前から人類は150人程度の集団で暮らし,脳はそれ以上大きくならなかったそうです。約1万2千年前に農耕や牧畜が始まり,人口が急に増え,集団の規模が拡大し人類の脳が大きくなったといわれています。(200万年前から40万年前の間)今や地球には70億人を超す人々が住んでいます。情報通信技術の発展は,この人口規模の急速な拡大によってもたらされたということです。
 情報通信技術が拡大発展していく今日50年先の世界は,どんな社会を構築することができるのか,我々が生活する日本はどんな歩みを辿り社会を構想できるのか。「超スマート社会」とは具体的にどんな社会なのか想像もできません。吉と出るか凶と出るか。どうか,「情報通信技術の発展」が信頼できる人の輪を大きく包み込み,安心のある社会を生み出すことに繋がることを切に望みたいと同時に,これから成長していく子どもたちが「情報通信技術の発展」の意味をしっかり学び,それに沿った人と人との絆を高めていく手立てを大人が導くことが益々必要であり大切であると考えています。

 2018(平成30)年2月21日(水)  NDダイアリー  三笠  正治

登録日:2018年2月21日/更新日:2018年2月21日

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