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授業紹介 クローズアップ

授業紹介 クローズアップ 7月号 社会科 「水俣病について考えよう」

登録日:2016年7月20日/更新日:2016年7月20日

社会科部担当 髙野北斗

社会科部研究テーマ

『対話の広がる発問づくり ~?の隠れた資料提示を通して~』

 

 ノートルダム学院小学校5年生の社会科では、前期に日本の工業生産・貿易・運輸などについて学びます。その後、エネルギーや公害、情報へとつなげ、後期より歴史分野に入るカリキュラムを組んでいます。今回は四大公害病のひとつである『水俣病』について、子どもたちが少しずつ考えを練り上げていった授業を紹介します。 

 まず、水俣病という公害病が明るみになった経緯を、自身が被害者になったつもりで子どもたちと共に追っていきます。最初は伝染病だと疑われ、周囲の人々から差別や隔離をされたこと、その後の調べで、チッソ水俣工場から排出される有機水銀が原因だと分かったことなど、子どもたちが自身の考えをもつための種(=情報)をまいていきます。

水俣病が起こった経緯を確認したところで、簡単な年表を提示しました。

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 ここで、

「この年表を見て、何か気がつくことはありますか?」

と発問します。すると、

「チッソ水俣工場から排出される有機水銀が原因と判明してから、水銀排出停止まで9年間もかかっている!」

という答えが返ってきました。

年表という資料をもとに「気づき」をもつことができたのを確認し、発問を続けます。

「じゃあ、なんで9年間もかかったのだろう?自分の考えをノートに書いてみよう。」

子どもたちが一斉に自分の考えをノートに書き始めます。

「他に流す場所がなかったから」という、実に素直な意見から、「お金もうけを優先したため」、「チッソの発展が国の発展につながるので容認した」など、既習事項を活かした意見も数多く見られて、子どもたちも満足気です。一通り発表した後に、

「この9年間、(1)チッソ水俣工場、(2)国(政府)、(3)水俣市民、はそれぞれどんな思いだったのか。それぞれの立場になって考えてみよう。」

と投げかけます。 

すると、先ほど自分たちが出した意見のほとんどが、(1)チッソ水俣工場、(2)国(政府)の思いであることに気づきます。

子どもたちの視点が、だんだん(3)水俣市民の思いに向けられていきます。

「水俣市民の中でも被害者は、早く止めてくれ!って思ってたやろうな」

「病気にかからなかった人は、自分は関係ないし、と思ってたんちゃう?」

少しずつ水俣市民の思いが黒板に書かれていくと、

 

「訴えられへんかった人もいたんかな...」

 

というつぶやきが起こります。そこですかさず、 

「訴えられない人って、例えばどんな人?」と投げかけます。 

するとしばらく考えた後、一人の子どもが答えます。 

「たとえば、病気になってしまった子どものお父さんが、チッソ水俣工場で働いていたら...」 

「あ!」、「そうか!」、子どもたちが再びノートに自分の意見を書き加えていきます。 

水俣病が広がったのは、国(政府)やチッソ水俣工場が、人々の健康や環境よりも経済成長を優先したから、という考えで止まっていた子どもたちの思考が再び動き出した瞬間です。

実は水俣市民の中でも、上記の理由などによって、なかなか訴えられなかった人が数多くいた、これも水銀排出停止を遅らせたひとつの要因なのです。 

 今年度の社会科部は、子どもたちのノートに思考のあとを残させることに取り組んでいます。一度、自分の意見を書いて終わるのではなく、自分の考えをもった上で対話を通して他者の意見と比較検討して、新たな考えを練り上げることを目標にしています。

 これからも授業の中ではもちろん、子どもたちがクラスで話し合う時や、遊ぶとき、給食や掃除の時などにも、自分の考えを昇華させていく瞬間をひとつでも多く生み出したいと思っています。

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登録日:2016年7月20日/更新日:2016年7月20日

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