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授業紹介 クローズアップ

授業紹介 クローズアップ 10月号 国語科 「自分の考えを持とう」

登録日:2014年10月20日/更新日:2014年10月22日

国語部 鎌田 裕子

 教室で私たち教師は、常に子ども達に話しかけています。朝のお祈りに始まり、今日の学習の予定や連絡、健康状態を子ども達に尋ね(1年生の私のクラスでは健康観察リレーというものを行っています)、授業中には指示し、問いかけ、説明をするように、先生と子ども達とのコミュニケーションはほとんど話し言葉によって行われていると言ってもいいでしょう。ですから、先生の話を聞いていれば困ることはないはずです。ところが、こんな光景が多くの学校で見かけられます。「さっき言ったばかりですよ。何を聴いていたのかな?」とか、「授業中に私語はいけません。友だちの話をちゃんと聴きなさい」と子ども達が先生に指導されている光景が・・・。今、聴く力の育成は、私立、公立を問わず、公教育の大きな課題となっているのです。

 ノートルダム学院小学校は2015年2月13日に研究発表会を行います。私たち教師は、地道な研究を通して授業を改善し、教師の教育力・指導力を向上させることが一番大切であると考え、児童の生きる力、確かな学力、言葉の力の育成を目指しています。その研究は、「聴く部会」「教材の提示部会」「言葉かけ部会」の3つの部会によって展開されています。 

 私の属する「聴く部会」は、聴く力を高めるにはどうしたらいいのかという問題意識を持ち、本校の児童実態を考えることを重視しながら、各教科の専門性を生かした実践をしてきました。その取り組みの進捗と共に、教師集団の意識は大いに高まってきています。

 昨年には、聴く部会で、以下のような研究仮説が立てられました。 

2013年度「聴く部会」研究仮説

 自分の考えを持てば、友達の意見に耳を傾け理解しようとする姿勢が高まり、

 友達の意見から自分が学ぶと考えれば、児童の聴く力は養われるのではないか。

 要するに、自分自身の意見、解釈をもつ主体的な姿勢が大切であるということです。「私はこう読んでいるけど、友達はどう読んでいるのかな」と思うからこそ、友達の意見を聞こうという意識が強まると私たちの部会は考えました。そこから、友達同士の対話が生まれます。自分の意見があってこそ、相手との対話が生き生きとしたものになるのです。それは、自分の考えが相手の考えを理解し、評価する基準となるからです。

そして、2014年度。次は、子ども達が自分の考えを持つためには、どのような取り組み実践をすればいいのかということが、私たちの課題になりました。

では、今回のクローズアップでは、私たち聴く部会で研究している先生の授業を紹介しましょう。

 

国語部 大嶋一輝

授業 3年生 国語 『海をかっとばせ』 

 めあて「男の子と練習するワタルと自分をくらべよう」

 

本単元の学習を進めるにあたり、テーマとして挙げたのは以下の2つです。

1.    物語を読み進め、登場人物のことを考えながら自分のことについて考える。

2.    学習モデルに沿って自分の考えを発表する。

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単元の最初、子ども達に発表のしかた(学習モデル)を提示しました。子ども達も最初は、モデル通りに書いていくことに必死でした。しかし、毎時間の授業で繰り返し練習し、モデルをマスターしていくと、子ども達が書く量も、その質も、どんどんあがっていきました。

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本時の授業では、自分の経験をふまえながら、ワタルと自分を比較していました。ここで大切になってくることは、「自己内対話」です。物語を自分で読みながら周りの状況や話の流れからワタルの気持ちを読み取るだけでなく、自分がワタルになりきって、「自分はいったいどんな人?」という自分なりの答えを見つけ出すことが重要になってきます。しっかり自己内対話ができると「似ている」、「違う」だけでなく、「ここまでは似ているけど、ここは違う。自分ならこうする。」というように具体的に書けるようになってきました。そうなると、班での意見交流も活発になってきます。自分の伝えたいことを発表するだけで なく、他の意見を聴いて新しい発見も増えてきます。

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最後は子ども達が意見交流で学んだことや感想を書いて評価をしていきます。自分のことについて考えるだけでなく、意見交流によって、自分の考えとの違いに驚いたり、他の意見が参考になったり、同じような意見があったりしたようです。一人だけで考える学習とちがい、自分の意見を持ち、友だちの意見と比べる中で同じ作品でも読み方や考え方が違うことを学んだようです。

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国語部 本木 千紗子

『ノートルダム読書 100選 ~じぶんだけの図書館~』について

                           

 ノートルダムの子どもたちは、読書が大好きで、毎朝10分間の朝読書の時間は校内が静寂につつまれ、子どもたちは本の世界に入り込んでいます。また、授業の合間の5分休憩、通学時の電車の中、山の家に行くバスの中でも本の世界に入り込んでいる姿が見られます。

 それほどに本が好きな子どもたち。しかし、その子どもたちは、本当に良い本に出合えているのでしょうか。

 今の子どもたちは、物語や音楽は、テレビで流行っているものはよく知っているけれど、昔ながらの本当によい本には出合えていないのではないかという思いから、そして、昔のようにおじいちゃん、おばあちゃんから、歌を教えてもらったり、お話を語り聴くことが少なくなってきた時代だからこそ、昔からのかわることのない本当によい本に出合ってほしいなと考えました。

 ND読書100選はノートルダムの教員がそれぞれに自分が子ども時代に読んで今も心に残っている本や、そして、今のノートルダムの子どもたちに小学校時代にぜひ出合ってほしい本を推薦文をつけて推薦し、その中から選定された100冊が載せられています。

 1年生から6年生の間に出合ってほしい本、子どもたちも一生懸命読んでいます。読み終わると、感想を書き、担任のサインをもらったあとに、図書館にシールをもらいに行くことになっています。担任も、どの子がどんな本を読んだのか、知ることができ、自分の好きだった本を読んでいる子をみると嬉しくなってしまいます。感想には、その子なりの背丈で感じたことが書き込まれています。

 図書館担当のシスターテレーズマリーはよく低学年の子どもたちに笑顔で話してくださっています。
「急いで全部読まなくていいんだよ。難しい本はもうちょっとお兄さん、お姉さんになってから読んだらいいからね。」

『ND読書100選』をきっかけに子どもたちが小学校という大切な時期に、良書とのよい出合いがあることを願っています。

 

 

 

国語部 前田 千恵

授業 4年生 国語 『ごんぎつね』

 

 4年生の国語の教材の中で最も有名なものとして、『ごんぎつね』があります。一人ぼっちで暮らす、いたずら好きのきつねの「ごん」が、人間の「兵十」に心を寄せながらも、その兵十に火縄銃で撃たれてしまうというお話です。

  同じ集落で暮らす人々にとっては困った行動を繰り返すごんですが、作者が描くごんの姿が何とも愛らしく、多くの子どもたちはごんを好きになり、ごんの願いがかなってほしいと望みます。例えば、兵十の後ろをこっそりついて歩き、兵十の影を「ふみふみ行きました」という場面では、兵十に近づきたいというごんの素直な心と、近寄りきれない切なさが感じられ、いつか二人が仲良くなりますようにと願わずにはいられません。そのため、子どもたちからは、「銃にうたれてしまって悲しい」「兵十に分かってもらいたかった」「でも、ごんも悪いことをしていたから仕方がないところもある」など、さまざまな意見が出ました。

 

 作者の新美南吉は、身体があまり丈夫ではなかったそうですが、子どものころから作文が好きで、体育以外の成績はどれも優秀だったそうです。『権狐』(ごんぎつね)は、作者が18歳の時に発表した作品ですが、作者は他にも狐を描いた作品を発表していて、身近な動物を温かく、心情豊かに、ユーモラスに描き、読む人の心に登場人物の姿がすっと入ってきます。それが、今もなお新美南吉の作品に子どもたちが惹きつけられる理由ではないかと感じます。

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 10月は『ごんぎつね』にじっくり取り組みます。この単元では、新美南吉の作品の紹介とともに、物語をよく読み、考えることを中心に活動します。感じ方の違いや、意見の違い、また共感したことを話し合うことを取り入れ、子どもたちそれぞれが想像を広げて読み進めることを大切にしたいと考えています。この活動の中で重要になるのが、まずは自分の心に向き合い、ごんの内言のように自分自身と対話し、自分の意見を持って文章として表現することです。「書く」ということは、「話す」「聴く」につながる重要な活動だと考えています。自分が感じ、考えたことを文章にまとめ、友達に伝え、聴くことを繰り返し、物語の読みを深めていきます。

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 この物語では、登場人物の心情表現や行動が丁寧に描かれているだけでなく、「赤いきれのように」「青いけむり」など、様々な色の表現が登場します。これは、その場面に対する想像力を膨らませてくれるだけではなく、次の場面への伏線になっている表現だと感じます。美しい挿絵も、本にとっては大切ですが、ここでは、新美南吉が紡ぐ文章そのものから、子どもたちなりに『ごんぎつね』の世界を受け取り、味わってもらいたいと考えています。子どもたち自身が文章から受けた印象を大切に、それぞれが頭の中に描く『ごんぎつね』の世界がこれからどういう姿を現すのか、まだまだ楽しみです。

 

登録日:2014年10月20日/更新日:2014年10月22日

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