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学校長メッセージ

学校長メッセージ <2013年度後期>

学校長メッセージ <2013年度後期>

「遠泳」

ノートルダム学院小学校 校長 行田隆一

ノートルダム学院小学校 校長
行田 隆一



 昨年、校長になり、在校生の保護者様のご意見やご要望をできるだけお伺いするとお伝えしました。そして、お父様方を対象に「父親懇話会」などもおこなってきていますが、保護者の多くの方々が「勉強も大切だが、勉強以外のいろいろな力を身につけさせてほしい」とおっしゃっています。
 遠泳の意義を、以前から個人的にも高く評価していた私は、そのご要望に意を強くし、遠泳の学習効果を一層上げたいと願い、昨年も今年も、練習段階でプールサイドから、また、時々はプールへいっしょに入って5年生を励ましました。
 遠泳の目標の中には、「努力して困難を乗り越える意志の強さを育てる」という内容のものがありますが、これは上のご要望に応えるものの一つです。
 困難を乗り越えるための努力は、耐えること、がまんすることに大きく支えられています。必死に泳いでいる子ども達に「がんばれ」と応援の声をかける時、それは「がまんするんだ」と呼びかけてもいるのです。試練に耐え抜かせるのが最大の課題だという認識で練習に立会いました。
 しかし、「がんばれ。がまんするんだ」の連呼では励ましにも限界があります。やはり、子ども達を「がまんするぞ」という気にさせる、何か魔法のような言葉が必要でした。そう思っていたら、去年、5年の担任の一人が実にいい話を子ども達にしました。それは、1968年のメキシコオリンピックの男子マラソンで銀メダルに輝いた君原健二選手のエピソードでした。首を傾けながら走る彼のフォームは独特で、見ていてとても辛そうでした。その君原選手は、「練習でもレースでも、走るのが苦しくなってもがまんして、まず次の電柱まで走ろう」と思ったのだそうです。そして、その電柱まで来たら、また次の電柱まで、と耐えながらゴールを目指したというのです。担任はその話を紹介し、「苦しくなってもあきらめずに次のブイまでがんばるんだ。それを重ねるんだ」と言いました。150人を超える5年生全員の目が担任に釘付けになっていました。
 5年生に耐え抜かせるため、私が去年も今年も使った言葉は「4つの信頼」です。小出しで話しました。がまんの原動力として使うようにと願って伝えました。
 一つ目は「先生」です。「君たち全員を完泳させるために、一生懸命指導してくださる先生方を信頼してついていきなさい。時には心を鬼にして厳しく叱るかもしれないが、それは目標を達成させてあげたいからなのです」と言いました。
 二つ目は「仲間」です。遠泳は3人一組の隊列で泳ぐのを基本としています。アイコンタクトを取り、声をかけ合いながら一定のペースで泳ぐのです。ブイのところで曲がる時は、外側の子がピッチを上げ、内側の子は立ち泳ぎをして隊列を保ちます。真ん中の子は両側の子の位置を気遣います。そういう隊列水泳では、がまんを含めて仲間と信頼し合うのが大切です。
 三つ目は「自分」です。これは、5年の学年目標の「自分の可能性を信じ、限界に挑戦しよう」に見事に当てはまる信頼の対象です。「やればできる自分」をイメージさせました。「泳ぐ距離と時間はグループによってそれぞれ違うけれど、限界に挑むという点ではみないっしょだ。そして、がまんしてがんばったら誰でも100点を取れる、それが遠泳だ」と話しました。「先生を信じ、仲間とも信頼し合える、そんな自分に自信を持ちなさい」とも励ましました。その自信は、目標達成により増幅され、自己肯定感の源ともなるのです。そして、その上で他者への真の配慮が生まれるのです。
 四つ目、それは「神様」です。「人事を尽くして天命を待つ」の言葉どおり、本番の時の天候が悪かったり、海に入る直前や泳いでいる最中に突然、不安が襲ってきたりするかもしれません。そういう時こそ、神様を信頼し、その大きなお力添えをいただくようにと話しました。
 そして、5年生の上には神様のご加護がありました。自然条件に恵まれただけでなく、全員が泳ぎ切りました。浜辺へ上がってくる子ども達の表情には、疲労以上に達成感があふれていました。1ヶ月以上にわたる、長い長い練習を耐え抜いた見事な成果でした。
 ホテルへもどっての閉校式で私はこう結びました。
 「完泳おめでとう。がんばったね。この経験は大きいよ。自分をほめてあげなさい。そして、それだけでなく、今、君たちは、他の学校の5年生にはないかもしれない力を身につけました。遠泳本番までがまんし通した君たちは、ほかの人たちが一生懸命がまんしている姿を美しいと感じ、そのがんばりに共感し、励ましてあげられるという力を身につけたのです。立派な人間になるための階段を何段か登りましたね」

 

2013年度前期「父母の会会報」164号掲載
(2013年9月27日発行)

登録日:2013年10月 1日/更新日:2013年10月23日

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