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学校長メッセージ

学校長メッセージ <2014年度>

学校長メッセージ <2014年度>

さとり

ノートルダム学院小学校 校長 行田隆一

ノートルダム学院小学校 校長
行田 隆一

 そのニュースを聞いたのは、車の中でした。興味深い内容で、車を止めてしばし聞き入りました。
 それは、「さとり世代と呼ばれる若者の将来志向気質」についての報道でした。解説者いわく、「自分の将来像を描く時、高い地位を目指さずにほどほどのところで満足する若者が多い」「自分の能力を知り、その能力の範囲で無難かつある程度安定した人生設計をする若者達は『さとり世代』と呼ばれている」
 聞いていて複雑な気持ちにさせられました。
 まず、それは果たして「さとり」だろうか、と思いました。「さとり-悟り」とは仏教用語です。得度して修行を積み重ねた結果、煩悩から解放され、迷いも解けて真理を会得することで、イメージとしては高僧や老僧に似つかわしいものです。
 それゆえ、仏教用語ではない場合に使われる「悟り」も、人生経験をあまた積んで人生の意義や善い生き方を知るという感じで、辞書には確かに「理解すること」「知ること」とあるものの、若者にはマッチするとは思えません。
 インターネットでさらに調べてみました。
 堅実で高望みをしない、現代の若者気質を表す言葉。1980年代半ば以降に生まれ、主に2002~10年度の学習指導要領に基づく「ゆとり教育」を受けた世代に当たる。 具体的な特徴として、「車やブランド品に興味がない」「欲がなく、ほどほどで満足する」「恋愛に淡泊」「海外旅行に関心が薄く、休日を自宅やその周辺で過ごすことを好む」「節約志向で無駄遣いはしないが、趣味にはお金を惜しまない」「様々な局面に合わせて友達を選び、気の合わない人とは付き合わない」などが挙げられる。
 この情報にはますます考え込まされました。
 高級志向ではなく無駄遣いも避けるという消費についての考え方は悪くないとしても、自分の人生を前途洋洋と思えないのは問題です。第一線で活躍して社会に貢献したい、幸せな家庭生活を送るために経済的な豊かさを求めて仕事に邁進し出世を目指す、一度きりの人生を悔いないものにするため自分が選んだ自分の道に邁進しそれを極めよう、というような覇気が感じられない価値観・人生観です。
 このような将来志向の若者を生み出した原因は、長引く不況や、インターネットで得た情報があるとされているようです。とりわけインターネットは、若者に対し、現実とはいえそういう価値観の形成を促す負の情報を与えたようです。
 さらに、「ゆとり教育」という国の教育施策の影響を受けているというのは看過できません。
 教育は意図的な営みです。後進に英知・叡智と生きる喜びを伝え教え、社会性を体得させ、神様からいただいた可能性を最大に開花させ、充実した人生を送らせ、世界平和を希求する心を育成するために、人類が有する優れた営みのはずです。その教育がさとり世代を生み出しているとは。その若者たちに気の毒な思いが強くします。
 「さとり世代」には、教育の意義の大きさについてあらためて考えさせられました。そして、正しい教育を、軸をぶらさずに継続してゆくことの重要さを痛感させられました。

 

2013年度後期「父母の会会報」165号掲載
(2014年3月15日発行)

登録日:2014年4月 7日/更新日:2014年4月 8日

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