6月25日(水) 山脇育子さんに永遠の安息を
登録日:2014年6月25日/更新日:2014年6月30日
新しい校舎の中庭にブロンズのマリア像が建てられました。今日はこのマリアさまのご像についてお話します。
それは「旧新館」が出来て間もない頃で、新館の3階が修道院だったころの話です。たくさんのシスターたちが3階に住んでいて、日曜日は、シスターたちが交代で小学校の受け付けや電話当番の仕事をしていました。
5月の終わり頃か6月の初め頃のある日曜日の朝だったと思います。受け付けの当番のため小学校玄関の事務所に居た時のことです。4月に入学したばかりの1年生の山脇育子さんが、お母さんと一緒に当時担任だったシスターレジナに会いに来られました。生まれつき心臓の難病だった育子さんは、体は小さいでしたが、いつもにこにこして明るく幸せそうでした。ご両親は、育子さんが1年生に入学するのを待って大きな手術を受ける決断をされたのです。心臓外科医として当時有名だったお医者様を信頼し、その方にすべてを託して、翌日東京の病院に入院されることになったのです。しばらくの間、事務所前の応接室でシスターレジナとお話合いをされ、帰り際に事務所に立ち寄り、笑顔で挨拶してくれたあの日のことをはっきりと覚えています。
"運動会には元気になって帰ってきま~す"と挨拶して学校を後にした育子さんとは、それが最期のお別れになるとは思ってもいませんでした。シスターレジナと一緒に二人の姿が見えなくなるまで見送りました。そして運動会までには元気になって退院できるだろうと信じていました。
ところが数日後、手術は成功しましたが、その後の体力の回復が思わしくなく、神様のもとへ召された、との連絡が入りました。ご両親の悲しみはどれほどのものだったことでしょう。私たちもショックでした。学校中が悲しみに沈みました。シスターレジナはお葬式のあとお母さまの代わりにお骨拾いにも行かれましたが、「かわいい霊魂が天国に凱旋した実感があった」とおっしゃっていました。
その後、ご両親のご意向でマリア像をご寄附していただくことになったのです。芸術家の方には「育子さんの心を表すマリア像を」とお願いして作っていただきました。右手は"神に栄光"、左手は"地に平和"を表しています。育子さんが、永遠に神様を讃え、そしてこの地上にも神の平和を取り次いでくださるようにとの願いが込められています。
除幕式にはご家族や6年生の代表が参加しました。
シスターベアトリス 田中範子
登録日:2014年6月25日/更新日:2014年6月30日