10月6日(月) 心を潤す
登録日:2014年10月 6日/更新日:2014年10月 7日
すすきが風になびき、日一日と秋が深まってきました。
この時期は物置に眠っている陶磁器の手入れをするのが恒例です。
「暮らしに彩りを添え、心に潤いを与えてくれるから。」と先祖が集めた趣味の品々は、当時の技術を駆使して四季折々の美を表現しており、手にしているとあっという間に時間がたちます。当時の暮らしやその時代の想いをぼんやり想像するのも楽しいものです。
モダンなデザイン、品格を感じる巧みな色合わせ、豊かな感性が詰まっているから伝わり続ける品々は、実に味わい深く、心を潤されるような感覚にひたって現実から離れてしまい、何も手につかなくなることもあります。そんな時は、過去でなく未来でもなく、現在に焦点を合わせ、意識をもっていくようにすると、長い時を経て今、ここに自分につなげられた命の存在の位置が見えてきて、自然に感謝と明日への意欲がわいてきます。
「口に入れる食べ物を厳選するように、頭に入れるものも厳選すること。思考が人生をつくるのだから。」そんな言葉も家訓です。手にしたお道具が「何ものにもとらわれることなく、人生を信頼し、身をゆだねきって静かにすごすように。」と静かに語っているようなひとときでした。
稲光千賀子
登録日:2014年10月 6日/更新日:2014年10月 7日