ページの先頭です 本文へスキップ
ここからグローバルメニューです
グローバルメニューはここまでです 先頭へもどる ここからページ内容です
  1. ホーム
  2. NDダイアリー
  3. 5月1日(木) ND読書100選本紹介

NDダイアリー

5月1日(木) ND読書100選本紹介

登録日:2014年5月 1日/更新日:2014年5月 1日

 今年度より、本校の児童は、1人1冊ずつ『ND読書100選』という本を持っています。これは「色んな本があるけれど、どの本を読めばいいかわからない」という子どもに、本校の教員が勧める児童文学の名作を100冊紹介しているものです。今回はその中の1冊で私が好きな『モモ』という本について紹介したいと思います。

 この本の内容は単純に読むと、時間泥棒に奪われた時間を主人公のモモが取り返しにいくというものなのですが、その話の奥に作者が語りたい現代社会への批判的なメッセージがこめられています。一般的に「作業の効率化」は正しいとされています。「時は金なり」ということわざもあり、現代社会ではどれだけ早く物事を終えられるかということに価値が置かれています。しかし、物事を効率的にすることで、逆に悪くなることはないのでしょうか。実は、時間と引き換えに現代の人が失っているものがあります。それは「人間の心のうちの時間」「人間が人間らしく生きることを可能にする時間」です。例えば、この物語に出てくる理髪店のフージー氏は、時間泥棒に遭い、このようなアドバイスをもらいます。「時間の倹約のしかたは、仕事をさっさとやって、よけいなことはすっかりやめちまうんですよ。ひとりのお客に半時間もかけないで、15分ですます。むだなおしゃべりはやめる。年寄りのお母さんとすごす時間は半分にする。いちばんいいのは、安くていい養老院に入れてしまうことですな。そうすれば1日にまる1時間も節約できる。それに、役立たずのセキセイインコを飼うのなんか、おやめなさい!恋人の訪問は、どうしてもというのなら、せめて二週間に一度にすればいい。寝る前に15分もその日のことを考えるのもやめる。とりわけ、歌だの本だの、ましていわゆる友達づきあいだのに、貴重な時間をこんなにつかうのはいけませんね。ついでにおすすめしておきますが、店の中に正確な大きい時計をかけるといいですよ。それで使用人の仕事ぶりをよく観察するんですな。」このアドバイス通り、フージー氏は時間を節約しますが、そうすることにより、楽しかった仕事がつまらなくなり、だんだんとおこりっぽい、おちつきのない人になっていきます。自分の生活が貧しくなり、冷たくなりますが、そのことに気付かず、さらにどうしたら時間を短縮できるかということだけを考えて生きていくことになってしまいます。

 これは近代的な社会から現代の社会に移る時に、人が得たものと失ったものを表しています。何事も効率化され、便利になった代わりに人とのつながりやものごとへのこだわりがなくなり、生活が無機的になってしまっている状態です。今の日本の社会にも深く当てはまるかもしれません。

 私がこのことを書こう思ったのは、先日、山の家に行った時に、ひたすらチェーンソーや鉈で木材をまきにしていたのですが、それが純粋に楽しかったからです。火をおこすなど、現代ならコンロがあれば数秒でできることですが、山の家では木を切り、それをまきのサイズまで小さくして、木を組み、火を消さないようにまきをくべ続けなければいけません。一見、ただ面倒な作業で時間がもったいなく感じますが、一つ一つの工程が生き生きしていて、周りの人とお話をしながら作業をすることで、とても有意義な時間を過ごすことができました。

 こういったことの大切さに気付けるのも、私が大学生の頃にこの本を読んだからかもしれません。そういった意味でも、子ども達にはいろいろな本を読み、物事を考える力を養ってほしいと思います。

 

以上『モモ』の紹介でした。

4年担任 伊藤直之

登録日:2014年5月 1日/更新日:2014年5月 1日

ここからサブメニューです

学校長ブログ

校長ブログ 3月20日(金) 今年度無事終了

  2014(平成26)年度、最後の学業日を無事に終えました

更新日:2015年03月20日(金)

続きを読む

過去の活動

サブメニューはここまでです

ページの上部へ

ここからページの本文です ここまでが本文です 先頭へもどる ここからこのウェブサイトに関する情報です ここまでがウェブサイトに関する情報です このページに関する情報は以上です 先頭へもどる