9月13日、京都大学 環境安全保健機構 放射線管理部門の角山雄一先生をお招きし、平和学習の一環として5年生の子ども達に放射線に関してご講演いただきました。

従来から5年生の平和学習では、広島を訪問して、原子爆弾の恐ろしさを学び、平和について考えてきました。5年生は今週の国際平和ミュージアム訪問に続き、来週はいよいよ広島を訪問します。
広島での学習に先がけて、本校児童の保護者でいらっしゃる角山先生に放射線についてのご講演をお願いしました。

「放射線について何か知っていますか」という角山先生からの問いかけでお話が始まりました。子ども達が「人の役に立つ」「人体に害があることもある」「DNAを傷つけることがある」 など、次々に手をあげて答えます。

はじめに、放射線発見の歴史や「RI(=Radio isotope アール・アイ)」、「放射線」、「放射能」という3つの言葉について、基本的な知識を学びました。昨今のニュースにもよく出てくる言葉、「放射線」や「放射能」とは何なのか、角山先生が子ども達にもわかるようにお話しくださいます。

放射線は自然界にもたくさんあり、こんぶをはじめミネラル豊富な食べ物からも出ているのだそうです。先生が持ってきてくださった放射線の測定機器は何も近づけなくても空気中の放射線を感知してピッピッと音を立てていました。また、人間の体に近づけても放射線を感知していました。人間の体からも放射線が出ていると聞いて、子ども達は驚いていました。

続いて、「放射線はあぶないのか」ということについてお話しくださいました。
人間がやってはいけない最悪の放射線の使用法が広島と長崎での原爆投下です。「黒い雨、黒い灰」の話や、放射線の影響が数十年たってから出てきたことなど、爆発時だけでなく、戦後も長く人々を苦しめた悲惨な被害状況について写真を交えてお話しくださいました。子ども達も真剣にお話をうかがいました。
広島平和記念資料館(原爆資料館)にあるマザーテレサからのメッセージのことなども話してくださいました。

人間が放射能を役立てようとして失敗した例として、昨年福島で起こった原子力発電所の事故についてのお話もありました。元通りの生活に戻るまでに時間がかかり、今の子ども達が大人になってもずっと関心を持ち続け、向き合っていかなければいけない問題だと教えてくださいました。
福島の人達のことを心に留めて、時間がたっても応援していこうという思いを新たにしました。

放射線は私達の生活の役に立っていることも知りました。医学、芸術、工業、犯罪対策などたくさんの分野で利用されているそうです。放射線でがんになる一方で、放射線でがんを治すこともあるのだそうです。

お話を聞き終わった子ども達からは、「放射線を活用して車を走らせる燃料にできますか」などたくさんの質問が出ました。角山先生がひとつずつ丁寧に答えてくださいます。また、この日は小学生向けの放射線についての授業に興味をお持ちの物理の先生や京大の学生の方々も来られていました。一緒に質問に答えてくださったほか、小学生がさまざまな興味深い質問を投げかけることに感心したとほめてくださいました。

多くのことを学んだ特別授業でした。わかりやすくお話しくださった先生に拍手で感謝を表しました。

子ども達は来週広島を訪れ、平和についての学習を深めます。