以前、朝の宗教放送で子どもたちにこのような話をしました。
 私たちは今まで何人の人と出逢い、ともに時間を過ごしてきたでしょうか。
 家族や友だち、先生…。たくさんの人々と出会い、言葉を交わしてきたことでしょう。人と一緒に何かをするとき、話し合いをしたり、協力したりします。しかし、時には意見が合わないこともあるでしょうし、失敗してしまうことがあるかもしれません。そんなとき、私たちはどうしているでしょうか。相手の意見をよく聞いて受け入れようとしているでしょうか。それとも自分の意見を押し通し、思い通りにしようとしますか。
 人は、一人ひとり顔や体の大きさ、声の調子などが違っています。金子みすゞさんの詩にあるように「みんなちがって みんないい」のです。人には必ず誰にも負けない優れたところがあります。その部分はすぐに目にできることもあれば、そうでないこともあります。「見えないものを見る」「背景を知る」ことはとても難しいことです。それが少しでもできるようになれば、たくさんの人とわかり合えるようになるのではないでしょうか。
 そこで、小泉吉宏さんの作品の中から「ものを見ること」を紹介しました。この作品は、「ブッタとシッタカブッタ」という本のシリーズの中にあります。
 主人公はブタくん、名前は「シッタカブッタ」と言います。初めて出会った動物。一部分しか見ることができず、正しく認識できなかった、というお話です。
 シッタカブッタのくんの想像した馬の絵を見て、思わず笑ってしまった子どもたちがたくさんいました。「馬」がどういう動物か知っていたから出た「笑い」でした。でもこれが「馬」ではなく、「ほかのもの」や「人」、例えば自分のそばにいる友だちやクラスの仲間だとしたらどうかと考えてみました。あなたはどのような「ものの見方」をしていますか。「正しいものの見方」をし、理解しようとしているでしょうか。もう一度自分をふりかえってみましょう。…と話しながら子どもたちとともに、自分自身をふりかえることになりました。

4年生副担任 稲森 真弓