「台本どおり」ということばがありますが、遠泳は「台本以上」でした。

週報では書き切れないと思い、このブログに感動物語を書くことにしました。かなり長くなることをお許しください。

  7月12日からの5年生遠泳合宿は、無事に、そして大きな成果のうちに終わりました。1ヵ月以上にわたる練習の間、私はできるだけ5年生と一緒にプールへ入り、子ども達を励ましました。

  練習が終わって全員集合になると、5年の先生が気を遣って、子ども達へ話をする機会をくれました。私は、小出しにして次の3つを信頼しなさいと伝えました。

  ひとつ目は、先生を信頼することでした。「先生方は、遠泳を通して君たちが成長するように強く願っているから、厳しい指導をするんだ。5年や体育部の先生方を信頼してついて行きなさい」

  ふたつ目は、自分を信頼することでした。「先生を信頼してがまんと努力を重ねている、その自分のがんばりを信頼しなさい。『練習はうそをつかない』とスポフェスの時に言いましたね。そのことばを信じ、集中して練習している自分の力に信頼を置きなさい」

  三つ目は、仲間を信頼することでした。「自分の可能性を信じて努力しているお互いを信頼しなさい。つまり仲間を信頼しなさい。そうすることで、頑張る力はもっと強くなるのです」

  そして、4つ目の信頼を、遠泳本番の三重県志摩市浜島の海岸で伝えました。「これまで厳しい練習に耐えてきた君たち全員に、本番を泳ぎ終わったあとに、必ず 達成感や充実感を与えて下さる神様の支援のお力を信頼しなさい」と言って本番へと送り出しました。

  参加した5年生154名は、泳力によって3つのグループに分けられました。 そして、Aグループ93名が60分間、Bグループ48名が45分間を泳ぎ切りました。13名のCグループは25分間、できるだけ休まずに泳ぎました。試練に立ち向かう子ども達の美しい姿が海上に並んで浮かびました。岸からの応援の中、伴泳の教師に励まされ、アイコンタクトで仲間と隊列を保ちながら、練習の成果を出し切って岸へ上がってきてくれました。

  私は、練習の時、こんなことも話していました。「この練習に耐えるんだ。その引き換えに、君たちは大きな大きな心の糧を手にする。もし、泳ぎ終わって岸に上がった時、校長先生の今言ったことがうそだったら、その時、言いに来なさい」

  すべてのプログラムが無事に終わり、宿舎で閉校式を迎えた時、上の話を持ち出して、「本番が終わって、浜辺で先生のところに『うそでした』と言いに来た人はいなかったけど、ここでもう一度聞きます。校長先生が練習の時に言ったことはうそではなかったんですね」

  それは台本以上のエンディングでした。日焼けした顔に輝いた154人の目の中に、満足のうなずきが見て取れました。