ある週末の出来事。私はひどい筋肉痛に襲われ、体を動かすたびに「痛い、痛い」と言って、寝込んでいました。

すると、5才の長男が、遊びに行った帰りに落ちているツツジの花を見つけ、私のために持って帰ってきてくれました。そして、自分でキッチンからコップを持ってきて水をくみ、洗面所にその花を飾ってくれました。

わが家では、毎週末、近くの神社にお参りに行くのが日課になっているのですが、この日は、「ママの いたいのが はやく なおりますように」と神様にお祈りしてきてくれたようでした。次の日には、心配そうな顔で「ママ、いたいの、なおった?」と・・・。ちゃんと神様が治してくれたか確認の意味もあったようですが、やはり心配をしてくれていました。

私がインフルエンザで寝込んだときにも、「ただいま~。ママ~!“かみさまに はやく なおりますように”って おいのりしてきたから、もうだいじょうぶやで~」と・・・。やはり、このときも近くの公園で拾った、小さな赤い実を両手いっぱいにして帰ってきました。誰に言われるでもなく、自分から誰かを思いやる気持ちをもち、それを行動にうつすことのできる長男には、優しさがいっぱい溢れています。心がとても癒やされ、元気がわいてきます。

3才の次男も長男の姿を見てか、やはり同じように、誰かがケガや病気のときには、「だいじょうぶ?」と優しい言葉をかけてくれます。神様にお祈りをしてくれます。

同じような光景は、保健室でも、時折、目にします。泣いている1年生に6年生のパートナーが優しい言葉をかけて慰めてくれたり、たとえ顔も名前も知らない子であっても、ケガをして困っている子がいれば保健室に連れてきてくれたりします。

他人を思いやる気持ち、心配する気持ち、励ましや勇気づけ、誰かのために祈ること 。それらは、どんな薬よりも効くクスリかもしれないと、子どもたちの姿を見るたびに、つくづく思うのです。

 

                                               養護教諭 松田直子