昨年NDダイアリーでも書きましたが,今の子に共通する体をコントロールする力のなさを子どもの自然な動作の中(特に遊び)で発見し,それらを補い,修正して行く手立てとなる基礎基本の動きを考えながら,子どもたちと接していることをお伝えしました.今日は顕著に現れている体を支える感覚や逆さ感覚について考えてみたいと思います.
 6年生はND小学校の伝統的な行事であるスポーツフェステバルの組体操の練習に励んでいます.ひとりで行うものから全員で行うものまで,その中心は「支える」と「逆さ感覚」のコラボレーションです.個人差(二極化)が大きく,昔に比べるとその差は歴然です.先生たちは叱咤激励し指導に当たっています.また,入学した1年生の中にも平坦なところを歩いていて突然転んだり,鉄棒の前回り下りをさせるのに細心の注意をしないと大怪我をしてしまう子や,怖くてできない子が何人か見られます.社会情勢や生活環境の変化が大きな原因とされていますが,子どもたちの体力は確実に低下してきていることは事実です.
 昔の子どもたちは,木に登ったり,ものを運んだり,相撲をとったり,木にロープ(縄)をくくりつけ友だちと揺らしごっこをしたり,飛び下りたり,川遊びや池遊びで木から飛び込んだり,空中転回を試みたり,水中でもぐったり,逆立ちをしたり,逆とびをしたりなど生活の中で日常的に「支える」とか「逆さ感覚」を磨いていました.私の小学校,中学校の体験で苦しかったが体を鍛えてくれたものの中に床磨きと雑巾での床拭きがあります.冬の季節は米糠をふくろに入れて教室や廊下の床を磨きました.他の季節には教室や廊下を固く絞った濡れ雑巾で拭きました.特に長い廊下を友だちと競争するのが常でした.済んだ後はバケツの水でごしごしと雑巾を洗い,固く,固く搾ります.こんな動作が徐々に足や腰やバランス感覚を磨いていったのでしょうね.
 現在ND小学校でも私の体験に類似したことを実践しております.13時15分.「キリストにはかえられません」の聖歌のゆったりだが力強いピアノ曲が流れると6年22組,23組から4つのグループが雑巾を持って体育館にやってきます.本校の全校一斉掃除です.一人200mの距離(東西5往復)に挑みます.往路の途中で,片道で,往復して,2往復して一服と今持っている自分の力に合わせて取り組んでいます.一見簡単そうに見えますがリズミカルに進むためにはなれるまでに時間がかかります.雑巾がけの動きは手の指をひろげ,手の平をぴったり雑巾につけ,肩が手の平からはなれないように維持すること.足を前後に置き,後方の足先でしっかり押すこと,肩の位置,腰の高さ,足の運びのバランスを保つことが大切です.子どもたちには「今,身につけなければならない基本的で,しかも多くの運動につながる動きがたくさん含まれているから」と励ましながら取り組ませております.また,子どもたちは時々雑巾を使った2人で,3人で,4人で行う雑巾空拭きも披露してくれます.これらの動きはアレンジしながら低学年,中学年の体育の時間にも使いたいと考えています.

指導教員 三笠 正治