“お父さん、今日まで私を育ててくれてありがとう。お父さんは力が強くてスポーツ万能でした。小さい頃、いろんな所に遊びに連れて行ってくれました。自転車でも一緒によく出かけました。おかげで、私は小学校で体育が大好きになりました。私はお父さんに感謝していることが沢山あります。中でもお父さんの出身校のノートルダム学院小学校に私を入れてくれたことは、今思えば最高の贈り物だったと思います。お父さん ありがとう。私はお父さんが大好きでした。”

“お母さん、今日までお世話になりました。あなたは私にとって憧れの女性でした。いつも優しく暖かく私を包み、私が自分の好きな道に進むことを許してくれました。小学校から大学までノートルダムで学ばせてもらい、卒業後もノートルダムで子どもたちと関わらせてもらって、多くの先輩や良き友に恵まれました。こんな私に育ててくれたお母さんに感謝しています。お母さんは私のすべてでした。ファッションもお母さんが決めてくれたものは安心して身につけることが出来ました。お母さんが作ってくれたお料理は何でもおいしかったです。お母さん、ありがとうございました。これからは、お母さんのような良き妻になれるよう努力します。・・・”


 この春、結婚のために退職された先生の結婚式でのご両親への挨拶の言葉でした。泣きながらもしっかりとした声でご両親に感謝をのべられました。お父様はふだん、“娘もやっと独り立ちできるようになりました。アメリカでもどこでも好きな所へ行けばいいのですよ。”などと笑いながら仰っていましたが、いずれそのうちに遠くテキサスまで行ってしまう娘のことを思うとどんなにかおさびしかったのでしょう。涙をぐっとこらえてのお父様のお姿が花嫁以上に今も私の心に残るのです。

シスターベアトリス田中範子